2024年4月19日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2018年12月18日

 ペイ教授の指摘は、鋭い。米中対立が激化すると、中国は、アジア諸国に対して微笑外交になり、米中が協調しているか米国が強く出ない時は、近隣諸国に対して、強圧的態度で臨む。日本を含むアジア諸国は、米中対立を決して好むわけではないが、中国が脅威となって行動することは困る。ここにジレンマが生じる。

 この中国外交のアプローチの変化には、騙されないことが重要である。ペイ教授も指摘しているように、中国の表面的変化に惑わされるのではなく、真の意図、目的を見失なわないことが重要である。

 実際に、中国の動きを見ていると、微笑外交に転じても、反日教育がなくなったわけでもなければ、尖閣諸島周辺への船舶の出入りが少なくなったわけでもない(この点、ペイ教授の観察は必ずしも正しくない)。

 甘い経済の提案も、いつそれが変化してしまわないか、気を付けながら慎重に進めるべきだろう。
 

  
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