財政金融政策による景気腰折れは見込まれず
景気が拡大を続けると、インフレになる場合があります。そうなると政府と日銀が「景気をわざと悪化させてインフレを防ごう」と考えるようになります。そこで、財政金融政策で景気を抑制するのです。具体的には金融引き締めで金利を引き上げたり、急がない公共投資を先送りしたりします。
もっとも、今次局面ではインフレを抑制するための財政金融政策は考えられないので、こうした可能性については検討不要でしょう。
今次局面で検討を要するのは、消費税の増税です。もっとも、前回(5%→8%)よりも増税幅が小さく、しかも様々な景気対策も講じられるようなので、景気の腰を折るようなことにはならないと思っています。
中国の景気後退はメインシナリオだが過度な懸念は不要
米国が中国からの多くの輸入品に高率の関税を課しているわけですから、中国の景気は、後退するでしょう。日本は中国に大量の輸出をしていますから、中国の景気後退が日本の景気に悪影響を及ぼすとの懸念は当然です。
しかし、米国が中国から輸入しているものが、他の途上国から輸入されることになるとすると、その途上国の景気が良くなるので、その途上国に日本からの輸出が増えることになるはずです。したがって、過度な懸念は不要です。
もしかすると、米国が中国から輸入している物の一部が、日本からの輸入に振り替わるかもしれません。そうなれば、日本にとっては漁夫の利です。
それから、資源を大量に輸入している中国の景気が減速すると、世界的な資源価格が下落して、資源輸入国である日本にはメリットがあるかもしれません。
そもそも中国の輸出が減った分は中国政府が景気対策を採って景気の下支えをするから大丈夫だ、という考え方もあります。
いずれにしても、過度な懸念は不要だ、と考えてよさそうです。