医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売を手がける、ロート製薬株式会社。OTC薬(大衆薬)で目薬が首位をキープし、「肌研(ハダラボ)」の急成長でスキンケアも大きな柱となっている。2010年度の売上高は1154億7200万円(連結)にのぼる、言わずと知れた大企業の社員食堂を訪れた。
一般開放している社食
JR浜松町駅から徒歩約7分。住宅やオフィスが並ぶ一角に、ひっそりと佇む「旬穀旬菜café」は、ロート製薬・東京支社の社員食堂だが、一般の人も利用できる。
ガラス張りの店内には外から光が差し込み、あたたかな雰囲気でどことなくホッとした気持ちにさせてくれる。メニューは「家庭薬膳」の一汁三菜膳(主菜+副菜2種+汁物+白米または玄米)が2種類、加えて「薬膳カレー」(夏はうどん)となっている。取材に訪れた日は、A膳の主菜が「茹で豚と揚げ茄子のピーナッツソース」、B膳は「蓮根の豚肉おろし」、副菜が「わかめと青菜のキムチサラダ」と「苦瓜の胡麻和え」、それに大根の味噌汁と松の実の雑穀ごはんがついて1050円というメニューだ。
「私はA膳にしようかな」と、岡田美知代さん(ヘルスケア事業本部・ヘルスケア第一営業部 販売支援グループ)。同じ部署の内田日香里さんはB膳をチョイス。同じテーブルの江頭純子さん(経営企画本部 広報・CSR室)や赤井文子さん(オールウェル計画推進室)と談笑しながら食事が進む。
「メニューに詳しい薬膳の説明が載っているので、その時の自分の体調を考えながら選びます」という内田さん。この日のA膳の主菜に使われているピーナッツは、抗酸化力が強く脳の活性化に役立ち、体液を増やし身体を潤すと言われる豚肉との組合せで美肌作りによいとのこと。B膳の主菜は、胃腸の働きを整え、ビタミンCもたっぷり摂れる一品なので夏の疲れが抜けきれないという方におすすめ、という説明を皆真剣に読み込んでいた。
1050円という価格は、社食としては決して安いものではないと感じるが、「これだけ手が込んでいて、身体にも良いものを食べられるのなら、逆に安いぐらいです」という岡田さんは、このカフェのメニューを気に入って、レシピをもとに自宅で作ったこともあるのだが、その大変さが身に染みたという。
盛り付けにもこだわりを見せている。ロート製薬の社員であり、カフェのスタッフの一人で栄養士の資格ももつ溝間さおりさん(オールウェル計画推進室 スマートキャンプ東京 旬穀旬菜café)は、「主菜や副菜は天盛りになるようにすると、美しく見えます。全体的には特に配色にこだわっています。食欲増進には、見た目は非常に重要な役割を果たすからです」と教えてくれた。なるほど、確かに器にも鮮やかな赤が使われていたりと、全体的な色彩に非常に気を遣っている。
人々の健康を謳う製薬会社の社員だからこそ
ロート製薬が家庭薬膳の社食をはじめた経緯を、担当の菊地寿子さん(オールウェル計画推進室)に聞いた。