障がい者を雇うのは、社会的責任、法定雇用率をクリアのためか?
最近、うちに見学に来る方は多い。経済団体や経営者、人事の実務担当者、そして公的な機関の職員、研究者や大学生などです。その中には、「会社が障がい者を雇うのは、まずは社会的な責任の遂行や法定雇用率をクリアするため。そのうえで何らかの利益があればいい…」と話す人がいます。
それも1つの考えかもしれませんが、私は違うんじゃないかと思っているのです。会社である以上、やはり、まずは利益を出さないといけない。そのうえで、社会的な責任の遂行や法定雇用率をクリアするべきでしょう。発想が逆になっているんじゃないかな。会社として利益を出せないと、納税もできない。いずれは、障がい者の雇用もできなくなる。当たり前のようでいて、多くの人が見失っているように思います。
当社は規模が小さいですが、利益は出しています。工夫すれば、できるんですよ。たとえば、障がい者にも丁寧な教育を繰り返す。そして、誰もが仕事ができるような仕組みやマニュアルをつくる。重度の知的障がい者も、できるようになります。みんなで障がい者の仕事の仕方を考え、整理していくと、多くの業務でルールが出来上がっていました。ISO9001(品質マネジメントシステムに関する国際規格)を取得する際には、マニュアル化が進んでいたので、約3カ月ですみました。これも、障がい者雇用の効果といえるでしょう。
障がい者の社員がほぼ毎日、工場や駐車場、オフィス内をきれいに掃除してくれます。これで、健常者は自分の仕事に気持ちよく専念できます。掃除という単純作業してくれる人がたくさんいることで、自分の仕事や生活が成り立っている。そのことを忘れちゃいけない。そこを会社として、人として大切にしないといけないんですよ。
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