2024年3月1日(金)

矢島里佳の「暮らしを豊かにする道具」

2019年4月13日

竹を青々しく保つ「秘術」とは?

 ここ数年通っている、京都のお料理屋さんのマスターは、お箸にかなりこだわりのある人物だ。そこで供されるのは竹のお箸。初めて訪れた時に、違和感を覚えた。この違和感は一体なんなのか……それは、目の前の竹のお箸が青々としていることだった。

竹というと、青い竹を思い浮かべる人が多いと思うが、それは生えているとき。竹を採って、竹に含まれる油を抜いて、天日干しをして、晒竹(さらしたけ)にすることで、何年も保存できるようにしている(写真提供:株式会社和える) 写真を拡大
(写真提供:筆者) 写真を拡大

 マスターになんで青々とした状態の竹のお箸を出せるのか聞いたところ、竹細工の職人さんにお願いして、冷凍した状態で送ってもらい、それをお店でも冷凍して、お客さんに青々とした状態で食事を楽しんでいただけるようにしているとのこと。

 目の前のお客さんのためだけの、1回きりの使い切りの青竹のお箸。マスターの粋なおもてなしの心を感じる。

「よかったら持って帰って、家の冷凍庫に入れておいてごらん」と、マスターから何膳かいただいて以来、お客様用に我が家の冷凍庫には青竹のお箸がある。

 そう、器だけでなく、お箸もまた食を豊かにしてくれる大切な道具である。しかも直接口に含むので、まさにお箸の質感がそのままダイレクトに舌を通して、体全体に伝わるのだ。ぜひこの機会に、お家のお箸を見直してみてはいかがだろうか。毎日食事に使うお箸にこだわるのは、なかなか良い豊かさへの投資になるはず。

連載:矢島里佳の「暮らしを豊かにする道具」

矢島里佳(株式会社和える 代表取締役)
1988年東京都生まれ。職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃から全国を回り始め、大学時代に日本の伝統文化・産業の情報発信の仕事を始める。「日本の伝統を次世代につなぎたい」という想いから、大学4年時である2011年3月、株式会社和えるを創業、慶應義塾大学法学部政治学科卒業。2012年3月、幼少期から職人の手仕事に触れられる環境を創出すべく、“0歳からの伝統ブランドaeru”を立ち上げ、日本全国の職人と共にオリジナル商品を生み出す。テレビ東京「ガイアの夜明け」にて特集される。日本の伝統や先人の智慧を、暮らしの中で活かしながら次世代につなぐために様々な事業を展開中。

  
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