2024年7月15日(月)

Wedge REPORT

2011年12月12日

 実際にはコメの汚染は山間地など特殊な条件の場合に顕著になるが、広範囲が一様に汚染される状況ではないようだ。そのため、そういう特殊な条件に当たってしまったコメを市場で継続的に購入してしまうことは考えにくい。一度スーパーで買ったコメがたまたま暫定規制値を超過していたとしても、1ヵ月もあれば食べきってしまうだろう。上記計算のように、一過性であれば大きな影響にはならない。

 また、子供への影響を心配する声もあるが、暫定規制値は子供も含めてもっとも影響が大きい世代の安全性を考慮して決められている(代謝の速さの違いなどから、セシウムについては子供より大人に影響が大きいと見られている)。子供についても配慮された数値だ。

過剰な対応で別のリスクが高まる可能性も

 しかし、一時的ならば食べても影響はないという説明は、牛肉に対するセシウム汚染の際にも行われたが一部で反発が大きかったようだ。食品が何らかの安全性の基準を超過しているケースというのは、放射性物質以外にも考えられる。その中には、放射性物質以上に私たちの健康に影響を与えるものもある。例えば、ユッケ事件のような細菌による食中毒は実際に被害者を出している。また、コメに含まれるカドミウムも地域によってはリスクが高い。

 放射性物質への対応は必要だが、行き過ぎると別のリスク対策が手薄になり、結果的に食生活全体の安全性としては低下することも考えられる。感情面での納得と、科学的事実に基づいた対策はうまくバランスを取りながらすすめていく必要がある。

 行政の取り組みだけでは不十分として、独自の対応を取る事業者も増えてきている。後篇では、その主な対応である「自主検査」の実施と、暫定規制値より厳しい「独自基準」の設定についての詳細に触れながら、その意義について考えていく。

*後篇へ続く(12月13日公開予定)

 
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