Wedge創刊30周年記念インタビュー・新時代に挑む30人

2019年6月7日

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 同法人設立の根底にあるのは大学時代、日本マイクロソフトでアルバイトをしていたときの経験だ。マイクロソフトの汎用OS「Windows(ウィンドウズ)」が消費者に浸透していく一方で、オープンソースの汎用OS「Linux(リナックス)」がサーバーや組み込み機器の市場でシェアを獲得していくのを見た。

 「研究者や企業はブラックボックスのOSは採用しにくい。オープンソースにすることで研究者や企業が参画しやすくなり、ベンチャーであっても先行しているOSに肉薄することが可能になる」

 同法人を作ったのにはもう一つ狙いがある。「オートウェアをティアフォーだけで独占できない形にすることが必要だった」。企業が参画しやすくするために、開発者である加藤の一存で急にオートウェアを使用できなくなるリスクを無くしたのだ。

 中国検索大手の百度(バイドゥ)も自動運転開発のプラットフォーム「アポロ」をオープンソース型としている。しかし、「ソースコードはオープンでなく、利用者へのサポートもない。いつ使えなくなるかもわからなくて、疑心暗鬼な自動車メーカーが多い」というのが業界内での評判だ。

 ティアフォーは自動運転開発の経験を生かした三次元地図データの配信やライドシェアアプリ、遠隔操縦システム、リスク管理サービスの構築を手掛け、自動運転が浸透したのちの世界も見据える。

 加藤がまず取り組むことは、交通弱者の増加や労働力不足が深刻化する地域交通を支える自動運転技術の開発だ。「技術的にチャレンジングな都市部でも自動運転は実現可能だが、本当に迫られているのはそれ以外の地域。5年以内にできることは、現行のバスとタクシーの間に位置するサービスだろう。地域課題を解決する自動運転技術でマーケットを切り開き、世界中に展開していく」。

 巨大IT企業がデファクトスタンダードを握るか、日の丸ベンチャーが育つか。既存の大企業も巻き込んだ壮絶な開発競争が始まっている。

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