2024年7月14日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2011年12月26日

 北朝鮮国内では、若く経験の浅い正恩氏を、正日氏の義弟の張成沢国防委員会副委員長らが支える集団指導体制に移行する公算が大きい。国際社会では、中国が正恩体制をバックアップしながら、陰に陽に北朝鮮の非核化と開放化を働きかけていくことになる。

 しかし、最も密接で伝統的な友好関係を有する中国にとっても、対北朝鮮工作は決して容易ではない。「われわれが働き掛けても、北朝鮮はなかなか思うように動いてはくれない」。北京で北朝鮮の核問題を取材していたころ、中国の外交官がよくぼやいていたことを思い出す。

北朝鮮が自爆に向かえば中国は正恩氏を見捨てる

 12月22日付の朝鮮労働党機関紙、労働新聞は正日氏死去の発表後、初の社説を掲載し、正恩氏の指導の下で「国防力を強化し、敵のどんな挑発も断固として踏みつぶさなければならない」と訴え、正恩氏が正日氏の「先軍政治」を継承することを宣言した。

 昨年11月に起きた北朝鮮軍による韓国の延坪島砲撃は、正恩氏の軍事的な実績づくりが狙いだったとの見方もある。日本の外交筋や北朝鮮ウォッチャーは、正恩氏がうまく権力基盤を固められず、対外的な強硬策に走る恐れも指摘する。

 韓国砲撃や核実験、ミサイル発射など、父親譲りの強硬策で米韓や日本を揺さぶり、「瀬戸際外交」を仕掛けてくる可能性もあるというのだ。

 ただ、そうした行為は朝鮮半島と周辺地域の由々しい不安定化を招く。国際社会の経済制裁も解除されず、疲弊した北朝鮮経済はさらに悪化し、国民の不満も増大するだろう。

 このように北朝鮮が「自爆」に向かえば、中国は未熟な正恩氏を見捨て、信頼するに足るほかの北朝鮮指導者を探さざるをえなくなるだろう。 

◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信中国総局記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
森保裕氏(共同通信論説委員兼編集委員)、岡本隆司氏(京都府立大学准教授)
三宅康之氏(関西学院大学教授)、阿古智子氏(早稲田大学准教授)
◆更新 : 毎週月曜、水曜

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