感心していると、三村さんが、ならばと紹介してくれたのが、ヴァージンオイスター。生まれてまだ一度も卵を持ったことがない牡蠣である。それも、瀬戸内でももっともきれいな海域で養殖されたものだという。小ぶりながら（当たり前か？）しっかりと牡蠣の味を主張しつつ、純粋、きれいな味わいに、またまた感嘆した。レモンも三杯酢も要らないという純な味わい。こってりしたブルゴーニュの銘酒ではなくて、国産のすっきりとした甲州種の白ワインが合うという美味しさ。牡蠣好きでは人後に落ちぬつもりだが、なるほど、このような美味しさもあったのかという発見の美味である。
この牡蠣を作っているのが、「かなわ」という水産会社である。牡蠣船（川に係留した船を料理店にしている広島名物）も経営しているということで、そこで先の海苔との組み合わせを楽しんだ。これが素晴らしい。豊かな海の風味が、味わいが互いに増幅した。やはり、至福の組み合わせというものがあった。時空を超えた広島の海のハーモニー。
そういえば、海苔の養殖には牡蠣はなくてはならぬものだとか。牡蠣の貝殻に海苔の胞子を植え付けるのだ。いわば、養母。ハーモニーも道理だったか。
◎山陽新幹線広島駅下車
■三國屋 旭町本店
バスで旭町下車、徒歩約3分
広島市南区旭1丁目3─21
☎082（254）2111
■かき船 かなわ
広島電鉄1号線で中電前下車、徒歩約3分
広島市中区大手町3丁目平和大橋東詰
☎082（241）7416
営業時間／11時～14時、17時～21時（休日は20時30分まで）
定休日／年末年始
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