2023年1月28日(土)

中東を読み解く

2019年6月22日

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国境はレッドライン

 問題は偵察機が撃墜された時、イランの領空を侵犯していたのかどうかだ。これにより、双方の主張の正当性が問われることになるからだ。米軍は無人機が撃墜された時には、イラン沖約34キロの公海上の上空で活動していたと主張、イラン側は無人機がイランから約15キロ沖の領空を侵犯していたとして、対立している。

 イラン革命防衛隊の発表によると、撃墜された無人機は20日未明、アラブ首長国連邦(UAE)の基地から離陸、ホルムズ海峡を通過してイラン南東部に向かい、領空侵犯した。イラン側が撃墜したのは午前4時5分だったが、これに先立ち数回にわたって領空侵犯を警告した。最後の警告は午前3時55分だったという。

 革命防衛隊のサラミ司令官は「われわれの国境はレッドライン(超えてはならない一線)だ」と述べ、領土を断固防衛する考えを強調した。イラン空軍のハジザデ司令官の発言として伝えられたところによると、無人機が領空侵犯した時、同じように米軍の35人乗りP8機も領空を侵犯したという。同司令官は「撃墜できたが、われわれはそうしなかった」と述べ、犠牲者が出ることを考慮して自制したことを明らかにした。

 トランプ大統領は有人機が撃墜されていれば、米側の対応は全く異なったものになったと強調しており、イランがP8への攻撃を踏みとどまったことが米軍の報復攻撃を招かなかった一因だったかもしれない。イランは無人機が撃墜された際の映像や、回収した無人機の残骸を公開した。

 今回、米軍の攻撃には至らなかったものの、ペルシャ湾では一触即発の軍事的緊張が続いており、米連邦航空局(FAA)は米国の航空会社に対し、イラン近辺の飛行を禁止した。英国のブリティッシュ・エアウェイズも同空域を避けて運航すると発表しており、国際的な空の便にも影響が出てきた。

 国連安保理が緊急理事会を開催する予定で、各国も米イラン両国に自制を促している。北大西洋条約機構(NATO)のスタブリディス元司令官は、両国が制御不能のスパイラルに入り込みかねない“危険なゲーム”を演じている、と警告した。

  
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