2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2012年1月23日

 本来は、手数料で稼ぐ販売代理店モデルから脱却して、薄利とはいえ売電に収益の柱を移すべきで、これが出来ていれば今の姿はなかっただろう。売電収入で利益が出なければ、販売代理店として風車をよりたくさん売る、新たに扱いはじめたナトリウム硫黄(NAS)電池販売など、販売代理店手数料で稼ぐモデルに依存していくしかなくなる。

補助金モデルからの脱却

 同じような話は、ウェッジ編集部がCEF社長の鎌田宏之氏にインタビューをしたときにもあった。それまで黒字だったのが10年12月期の決算が赤字となった理由について「補助金がなくなったからだ。これまで国が推進してきたのに、急ブレーキをかけられたのだからたまらない」と話した。

 本来プロジェクトごとにしっかりとした事業計画を立てていれば、初期投資を回収し、利潤は生まれる。補助金がなくなれば、新規プロジェクトを止め、既存のプロジェクトを続けていれば、いずれ全体としての収支は成立するはずである。補助金がなくなれば、急に赤字に転落するという鎌田氏のコメントはCEFのビジネスモデルに疑問を抱かせるものだ。

 実はCEFは、日本風力開発に似ている部分が多い。CEFも10年に東証マザーズに上場する計画であった。過去を紐解けば、前身の北海道クリーンエナジーファクトリーは、日本風力開発の関連会社だった。その意味で開発手法、株主にゼネコンが控えるなど似ていることが多い。

 各地で激しい反対運動を起こされ、敦賀市や南房総市などでは社会問題化した。乱開発の影響なのか経営的に問題が出たようで、ゼネコンで株主でもあるきんでんが、CEFが建設中の風力発電所2カ所(和歌山県3万kW、山口県5万kW)を子会社化するという異例の事態が発生した。さらには九州の玖珠ウインドファームを、伊藤忠系JENホールディングスに売却している。日本風力開発も建設中であった和歌山県のウインドファームを大阪ガスの子会社に売却している。

 風力事業会社がビジネスの根幹をなす発電所を売却するということそのものが異常な事態を示していると言える。2社はこのまま破綻、解体に進むのではないかとの観測も業界内にはあり、予断を許さない状況だ。

 初期投資に出されてきたこれまでの補助金制度では、長期の事業計画の策定が疎かになってしまう。そうした意味では、発電しなければメリットを享受できない固定価格買取制度のほうが有用だと言える。

固定価格買取制度は機能するのか?

 7月からはじまる固定価格買取制度で、風力発電の買い取りもこれまでより条件が良くなるだろう。これにより、きちんと風車を回せばきちんとした利益が期待できる。

 当然、この対象は新設の風力発電所に限るべきだ。現に経済産業省の資料『再生可能エネルギーの固定価格買取制度について 2011年10月』12ページにおいても「新たな再生可能エネルギーの買取制度は、これから設置される設備が対象です。約1400件ある既設の発電設備については、引き続き、RPS法の下、同様の環境で事業を行うことができます」と記載がある。


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