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2020年1月5日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

良いものを高く売る

 だが、ハラールお好み焼きも良い話ばかりではない。ハラールにすることで、食材費が大幅に上がってしまうのだ。「飲食店の平均的な食材費比率は価格の30%ですが、従来の価格だと50%を超えてしまう。高級感を出して価格を上げることで、何とか40%に抑えています」とオーナーの石飛さんは言う。お好み焼きに使うソースはオタフクソースがマレーシア工場で作ったハラールのソースを使っている。

 良いものを高く売ることで付加価値を確保しようとしているわけだ。日本でもっとハラールが広がってハラール素材が使われるようになれば、原材料の単価は下がっていく。口コミで売り上げが増え、コストが抑えられれば儲けが出る。

ハラール処理された牛肉の鉄板焼き

 追い風は間違いなく吹いている。今後も日本にはイスラム教徒の観光客が押しかけることになりそうだ。インドなどへの観光ビザの要件緩和を日本政府が推し進めているためだ。

 「フードダイバーシティ」が運営する「ハラール・メディア・ジャパン(HMJ)」にはイスラム教徒向けの様々な情報が載っている。ハラールラーメンやハラール手羽先、ハラール味噌串カツといった日本の味覚のハラール版が次々に誕生している。確実に食のダイバーシティは広がっている。

 食だけでなく、モスクや礼拝場所などの案内もある。ちなみに「銘々」の一角にも礼拝ができるスペースを作った。決まった時間に礼拝するイスラム教徒に配慮した設備だ。

 守護さんが各地の講演にひっぱりだこなのは、ことさら多文化共生などといった理念を前面に出していないからではないか。いかに、イスラム教徒の観光客をもてなすか、それでどれだけおカネを落としてもらうか。ハラールに取り組むことで、大きな付加価値を生み出す可能性を強調している点に、共感を覚える地方自治体や飲食店などが増えているに違いない。

  
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◆Wedge2019年9月号より

 

 

 

 

 

 

 
 

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