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2019年7月20日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

「ありそうで無いもの、長く使っていて飽きないものを作ってきました」

【マイク・エーブルソン、エーブルソン友理】
2000年、NYブルックリンで「POSTALCO(ポスタルコ)」を共同創業し、01年に東京に拠点を移す。離れた人と人を紙でつなぐ「Post(Postal=郵便)」に会社を表す「co」を付けたのが社名の由来。昨年、これまでの活動を記した『水たまりの中を泳ぐ—ポスタルコの問いかけから始まるものづくり』(誠文堂新光社)を出版した。(写真・湯澤 毅、以下同)

 そう語るのは、「ポスタルコ(POSTALCO)」のブランドでステーショナリーや革製品を生み出してきたデザイナーのマイク・エーブルソンさん。妻で同じくデザイナーのエーブルソン友理さんも、モノづくりでは「妥協はまったくしませんね」と笑う。

 そんなふたりが作る「ポスタルコ」の品々にほれ込む顧客は、世界に広がっている。

東京に拠点を移した理由

 ふたりが出会ったのは米国ロサンゼルスにある美術大学「アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン」。マイクさんはプロダクトデザイン、友理さんはグラフィックデザインを学んだ。卒業後はニューヨークでデザインの仕事をしていたが、意気投合して2000年にブルックリンで「ポスタルコ」を共同で創業した。

 だが、ふたりは翌年、「ポスタルコ」の拠点を東京に移す。自分たちのデザインを形に変えていくには、技術と熱意を持った職人との共同作業が不可欠だと感じたからだ。東京にはそうした職人が存在していたのだ。

 「例えば、この名刺入れ。開くと口が大きく開きます。そのためには高い技術が必要とされる縫製部分が増える。他の名刺入れにはない縫い方にすると職人さんにとっては面倒なのですが、たくさん名刺が入った時も形が崩れずにきれいに見えます」

 そうマイクさんは言う。そんなデザイナーの注文に根気よく付き合ってくれる職人が日本にはまだまだいる、というのだ。

 エーブルソン夫妻の流儀は、デザインしたら後は職人任せというのではない。職人と共に何度も試行錯誤を繰り返す。ただし、あくまでデザイン先行ではなく、使いやすさが第一だ。

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