VALUE MAKER

2019年7月20日

»著者プロフィール
閉じる

磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 01年に初めて作った書類ケース「リーガルエンベロープ」は18年たったいまでも作り続け、店頭に並んでいる。何も入れないと薄くたためるが、マチがあってしっかり書類が入る。手で握る部分は革で、耐久性が高い。

 当初は想定していなかったが、最近はノートパソコンを入れる人も増えた。まさしく、ありそうでなかった便利なモノの代表格だ。

 「妥協しないモノ作り」には最適の場所である日本だが、その最大の難点は「安いものが作れないこと」だった。

 また、職人の手作業頼みの商品では、難しいものになればなるほど、数が作れない。どうしてもコストが高くなってしまうわけだ。

 例えば、構造の設計を一からデザインしたボールペン「チャンネルポイントペン」は無垢の金属棒から職人がひとつひとつ手作業で削り出している。

左:最初の製品となった「リーガルエンベロープ」。マイクさんが友理さんのために革と布を素材にしてボタンに紐を巻いて閉じる封筒を作った
右:織り機のシャトルから発想を得たアルミ削り出しの「チャンネルポイントペン」

 ペンをポケットなどに差した際にクリップだけがネクタイピンのように見えるデザインはシンプルだが、それを実現するのはペンの構造から考える必要があった。

 当然、「ポスタルコ」の製品の価格設定の仕方は、一般のステーショナリーとはまったく違う。

原価を積み重ねて価格を決める

 普通ならば顧客のターゲットを定めて価格帯を決め、それに合わせてコストを絞るようなやり方を大手メーカーなどは採る。

 だが、「ポスタルコ」は、まずデザインを決め、職人と製造方法を詰めた段階で、原価を積み重ねて販売価格を決める。職人にも満足してもらえる対価を払うよう努める。

 「もちろん、無駄なコスト増になることはお客様のためにならないので避けます」

 と、マイクさん。例えば、数センチの違いで規格から外れコストが2倍になるようなものは、規格内に収めてコストを圧縮する。

 だから、「ポスタルコ」の商品は決して安いわけではない。書類ケースは税込みで3万円ほど、ボールペンは4万円前後だ。名刺入れは1万2960円だ。

 できあがるまでの手間暇や職人の手作りであることを考えれば、相応の値段とも言える。また、長年使い続けることができれば、むしろ安い、と言えるかもしれない。

関連記事

新着記事

»もっと見る