神奈川県茅ケ崎市にある浜見平団地。湘南の海岸線にほど近い、いわゆる公団住宅である。築50年を迎えて老朽化が進んだ住宅棟は、現在、建て替えが進んでいる。
そんなシャッター商店街の一角に、昨年、一風変わった店舗が誕生した。
そんな中で最後に残ったコンクリート造りの一棟は、1階に商店が並ぶ構造だが、いずれやってくる取り壊しに向けて移転するなど、櫛の歯状にシャッターが降りている。
「Local First(ローカルファースト)」
地域の人たちが手作りした小物や、不要になったリサイクル品を販売する。店頭はカラフルでオシャレ。取材当日もハロウィンを控えて、オレンジ色のお化けかぼちゃのオーナメントが天井いっぱいにつりさげられていた。明るく開放的なため、誰でも気軽に入れるムードにあふれている。
この店を切り盛りするのは淺野真澄さん。地域で活動する「ローカルファースト研究会」の代表を務める。
100人のママの声を聞く
ローカルファーストという概念は、地域資源を掘り起こして、地域のモノを優先することで、地域経済の活性化を図ろうというもの。
研究会では、年2回のシンポジウム、機関誌『ローカルファーストジャーナル』の発行、子供向け教材の作成などを行っているが、それだけでは満足できない。実際にローカルファーストを実践する場を作ろうと考えたのだという。
「どうやって主婦にアプローチするかを考えたんです。財布を握っているのは女性ですから、ママたちに支持されないと成功しません」 「空き店舗プロジェクト」と名付けて地域のシャッター商店街を探した結果、浜見平商店会にたどり着いたのだ。浜見平団地は高齢者世帯が多いものの、建て替えによって若い子連れ世帯も増えていた。もちろん初めからリサイクルショップを開こうと決めていたわけではない。