「浅草六区」を復活させようという動きがここ数年盛り上がりを見せている。ここに引き寄せられた人たちによって、「にっぽんの暮らしが分かる」という、コンセプトのもと、新しい複合商業施設が誕生した。
拡大画像表示
東京・浅草の寺の西側、国際通りとの間の一帯を「浅草六区」という。明治・大正から昭和にかけて、日本の娯楽の一大中心地として、多くのエンターテイナーを輩出した活気に満ち溢れていた場所だ。往時は映画館だけでも30あったというが、高度経済成長期以降、地盤沈下が進み、2012年に映画館はゼロになった。忘れ去られた繁華街の代表格である。
その「浅草六区」を復活させようという動きが盛り上がりを見せている。もちろん地元の商店会やビル所有者、区役所なども再活性化に懸命に取り組んでいる。だが、それ以上に復活にひと役買っているのが、浅草六区という「場の力」に引き寄せられた人たちだ。
そのひとりが大手芸能プロダクション、アミューズの大里洋吉会長。筆者も、ある「町おこし」の会合でご一緒した際、浅草六区にかける熱い思いを聞かされたことがある。「浅草は古くから、芸能の天女が空を舞っていると言われてきた土地柄なんです。劇場を復活させて文化を世界に発信する場にしたい」。大里氏は夢を語っていた。
実際、14年7月には、浅草六区にカフェ形態の劇場「アミューズ・カフェシアター」をオープンさせた。アミューズ所属の「虎姫一座」がカフェのスタッフとなり、客をもてなしながらショーも行うという試みだ。さらに、松竹などと共に、浅草六区再生のためのプロジェクトにも参加している。
そんな浅草六区の中心、「浅草六区ブロードウェイ」に面した一角に昨年12月17日、新しい複合商業施設が誕生した。その名も「まるごとにっぽん」。ちょうどアミューズ・カフェシアターが入るビルの向かい側である。
東京楽天地が映画館などの跡地を再開発したもので、5~13階は「リッチモンド」ホテル、地下1階にはパチンコホールが入るビルの、1~4階部分だ。