2024年11月22日(金)

地域再生のキーワード

2016年3月21日

 隣には、全国の自治体の「ふるさと納税」に関する情報が分かる「ふるさと納税コンシェルジュ」や、地域への移住情報などを得られる「しごと・くらしコンシェルジュ」など情報基地もできた。

クッキングスタジオ

 さらに、にっぽんの暮らしが分かる「体験型」のコーナーがあるのも特長だ。クッキングスタジオ「おいしいのつくりかた」では、地域独自の食材や調味料を使った郷土料理のレシピを紹介する料理教室が開かれている。年末年始には「にっぽんの伝統 おせち&お雑煮料理教室」が開催されて人気を博した。また、イベントスペースでは、さまざまな文化を紹介するワークショップも行われる。水代氏が丸の内や神田で「和」をテーマに培ってきたノウハウがここでも生きる。

地元の人たちに愛される本物

 今、浅草は外国人観光客の急増でにぎわいを増している。大半の人が地下鉄の浅草駅から雷門、仲見世を通って浅草寺に参詣し、また元に戻るコースをたどる。「まるごとにっぽん」は、つくばエクスプレス(TX)浅草駅至近で、ホテルも開業したため、今後は外国人客が浅草寺から浅草六区へと、流れを変える可能性が高い。

 だが、「まるごとにっぽん」の小笠原氏は「あえて外国人観光客をターゲットにはしない」と言う。「日本人に受け、地元の人たちに愛される本物が、結果的には外国人にも喜ばれる」と考えているからだ。「まるごとにっぽん」を外国人向けの安直なショーウインドーにはしない、という心意気なのである。

地方の各種情報が収集できるスペース

 浅草六区に行けば、何か新しい面白いものがある─。昭和の活況を支えたのは、浅草オペラや喜劇、そして映画といった当時最先端のハイカラなエンターテイメントだった。だが、世界の娯楽を知り尽くした今の日本人が求めるのは、舶来の物マネではない。

 むしろ、日本が長い間に培ってきた伝統や文化に根差した「本物」を再発掘することだろう。「クール・ジャパン」に目覚めるべきは日本人自身なのだ。そんな、日本人を引き寄せる「場」づくりを、「まるごとにっぽん」は担っていくことになるに違いない。「浅草六区が面白い」と言われる時がやって来るかどうか。要注目である。

(写真・生津勝隆 Masataka Namazu)

  
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◆Wedge2016年2月号より

 


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