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2020年1月5日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

経済ジャーナリスト

1962年東京生まれ。1987年早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年3月末で退社、独立。現在、経済政策を中心に政・財・官を幅広く取材、各種メディアに執筆するほか、講演やテレビ出演、勉強会の主宰など幅広く活躍している。オフィシャルHP(http://isoyamatomoyuki.com/)

著書に『2022年、「働き方」はこうなる』(PHPビジネス新書)、『理と情の狭間 大塚家具から考えるコーポレートガバナンス』(日経BP)、『国際会計基準戦争 完結編』(日系BP)、『ブランド王国スイスの秘密』(日経BP)など。共著に『オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社』(平凡社)、『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。

早稲田大学政治経済学術院(大学院)非常勤講師、上智大学非常勤講師。ボーイスカウト日本連盟理事。静岡県ふじのくにづくりリーディングアドバイザーも務める。

日経ビジネスオンライン(日経BP)、現代ビジネス(講談社)、フォーサイト(新潮社)、月刊 WEDGE(ウェッジ)、月刊 エルネオス(エルネオス出版)、フジサンケイビジネスアイ(産経新聞社)などに連載コラムなどを持ち、定期執筆している。

 「世界では4割近い人たちが豚肉は食べません。こうした人たちをお客様として取り込みたいのか、取り込みたくないのかという問題なんです」

【守護彰浩(しゅご・あきひろ)】
千葉大を卒業後、2007年楽天に入社。大学、会社員時代にムスリムの友人を持ったことで、日本におけるハラール情報が不足していることを実感。14年、ハラールの情報発信を開始するべく起業する(写真、右からヌルハイザル・アザム・アリフさん、守護さん、大國太士さん)。(写真・湯澤 毅、以下同)

 「ハラール」など多様な食の情報を発信する「フードダイバーシティ」の守護彰浩・代表取締役は講演会に招かれるたびにこう強調する。日本を訪れる外国人、いわゆるインバウンドが大きく増えている中、「日本人のように何でも食べられるのは世界ではむしろ珍しい」と守護さん。

 イスラム教徒16億人、ベジタリアン9億人、世界人口約70億人の少なくとも36%は豚肉が食べられないのだ。

 千葉大時代にイスラム教徒の友人ができたことがきっかけで、彼らの文化に興味を持ったという守護さん。その後、楽天に入社し、多数のイスラム教徒の社員と共に働くことになる。そこでも、彼らがいつも話していたのが「食べるお店がない」ということだった。そんなイスラム教徒たちへ情報を発信するメディアをつくろうと起業を決意し、2014年に「フードダイバーシティ」を立ち上げた。

 「ハラール」というとイスラム教徒が食べる特別な料理という印象が強い。だが、和食や中華などと並んで「ハラール料理」というものがあるわけではない。ハラールとはイスラム教の戒律で「許されたもの」という意味。魚介類や野菜、果物はハラールだが、牛や鶏などはイスラムの教義にのっとった屠畜(とちく)方法で処理しなければならない。イスラム教徒が屠畜処理する必要があるのだ。

 一方で、イスラム教徒が口にできないもの「ハラーム(禁じられたもの)」がある。豚肉や豚由来の成分、アルコールなどだ。

 こうしたハラーム食材を使っていないものが「ハラール」食なのだ。つまり、本来は、和食でも、中華でも「ハラール」が存在する。

ハラールお好み焼き

 「広島に来て10年以上、広島のソウルフードであるお好み焼きを食べることができませんでした」

 そう広島市立大学国際学部准教授のヌルハイザル・アザム・アリフさんは振り返る。マレーシアやインドネシアから広島を訪れる観光客の多くはイスラム教徒だ。

ハラールお好み焼き

 彼らは名物である「広島お好み焼き」を食べたいが、手を出せない。お好み焼きには豚肉が使われているからだ。海鮮お好み焼きなどを頼めばよいと思われるかもしれないが、豚を焼いた鉄板で焼いたものや、ソースの原料にハラームが使われていてもダメなのだ。「ハラール」にするには、鍋など調理器具を分け、食器も別の物を使わなければならない。

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