2024年12月22日(日)

VALUE MAKER

2019年8月3日

 高級な背広やドレスをオーダーメイドするようなオシャレに敏感な人でも、その服をかけるハンガーにまで気を使っている人は少ないのではないか。

【中田修平(なかた・しゅうへい)】
1978年生まれ。千葉大学を卒業後、米国アリゾナ州立大学に留学。ニューヨークで現地企業に就職後、2007年に家業に就き、青山に開店した「NAKATA HANGER」の立ち上げに参画する。1946年創業の3代目。(写真・湯澤 毅、以下同)

 「誰でも必ず使っているのに、深く考えたことがないモノの代表格がハンガーでしょう」

 そう言って笑うのは「NAKATA HANGER」を展開する中田工芸の中田修平社長。服は身体に合わせて縫製するが、服をかけるハンガーは一般に売られているものだと、形や大きさはほぼ同じ。服に合うハンガーを選んで使えばまだいいが、服を買った時に付いてくるプラスチック製のハンガーや、クリーニングから戻ってきた針金のハンガーにつるしたまま、洋服ダンスにしまうケースも少なくない。

 NAKATA HANGERはそんな常識を打ち破り、洋服にフィットするハンガーを提案している。S・M・Lのサイズに合わない体格の人や、色や形にこだわりの強い人向けには、オーダーメイドのハンガーも作って世に送り出している。

 それができるのは、兵庫県豊岡市で木材から職人が機械を使って彫り出す手作りハンガーを製造しているからだ。中田工芸は1946年の創業以来、一貫してハンガーの製造・販売を行ってきた。木材ハンガーを国内で大量生産しているメーカーは今や中田工芸だけ。メーカーの多くは中国などから入ってくる安価な輸入品に駆逐されて国内製造を断念していった。

用途によって厚みが異なる

 ハンガーの最大の需要先はアパレルメーカーで、ショップに服を陳列する際の必需品だ。高級婦人服ブランドのブティックで使う、色や形にこだわったハンガーの注文などを受けてきたが、90年代ごろから中国製品が入ってきて「価格勝負」になっていった。中田工芸も台湾のパートナー会社に低価格品の製造を委託、激しい価格競争を何とか生き残ってきた。


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