2024年7月25日(木)

Wedge REPORT

2019年8月31日

交通違反と拳銃

 米国でスピード違反で捕まるとどうなるのだろうか。ユタ州の州道で捕まった米国に住んでいる日本人の経験を聞いたことがある。州南部の山間部にある企業に出かけていた帰り最終便に乗り遅れそうな時間になり、制限速度55マイル(約90km)の山道をかなりのスピードで走っていた。ほとんど交通量をない道を追いかけてくる白いスポーツカーに気付いた時には、赤色灯がスポーツカーの上で点滅していた。

 フォードのスポーツカーがパトカーだったのだ。降りてきた警察官からスピードが90マイルだったと告げられたが、セダンタイプのレンタカーで90マイルのスピードで山道を走るほどの運転技術はないので、その旨告げ90マイルの計測値はあり得ないと話したところ、警察官からは選択肢は2つある、ここでサインするか、このまま拘置所に行くかだ。どちらにすると迫られた。実際には申し立てが可能な筈だが、日本人とみて警察官は簡単に話を進めたのかもしれない。

 サインするしかない。警察官が書類を作成している間、スポーツカーは珍しいと思い車を良く見てみようと車から降りたところ、警察官から「直ぐに車に戻りダッシュボードの上に両手を置き、動くな」と大変な剣幕で怒鳴られた。人気のない山道で拳銃を出されることを警察官は警戒したのだ。

 教訓は米国では拳銃を警戒されるので行動に気を付けることだ。おもちゃの拳銃を取りだしただけで警察官に射殺された事件も報道されるほどだ。用心深い人は、財布を上着の内ポケットに入れ、それとは別に現金をズボンのポケットに入れている。強盗にあった時に財布を取り出そうと内ポケットに手を入れると拳銃を取り出すと勘違いされ、撃たれたり、刺されたりすることがあるかららしい。

 米国人は、拳銃を持ち歩いているのだろうか。西部のロッキー山脈に近い地域では車の中に拳銃を持っている人が多いのは間違いない。私が仕事の関係で西部で車に乗せてもらった人は全員車のダッシュボードに拳銃を持っていた。理由は、熊がいる、毒蛇がいるというものだが、まあ護身用ということだろう。警察官が拳銃を警戒するのも理解できる。

州により異なるルール

 米国では州により交通法規も罰則も異なるが、ユタ州は米国でも交通違反に厳しい州の一つだったらしい。反則切符をもらい、オンラインでクレジットカード決済を行うか、後で小切手を警察に送付することになる。不幸中の幸いは、スピード違反が95マイル以上でなかったことだった。40マイル以上のスピード違反では州裁判所への出頭が義務付けられ、裁判にあわせユタ州に行く必要があるとのことだった。日本からの旅行者がスピード違反を行うと日本から出頭する必要が生じるだろう。日本の国際免許だから反則金を免れることはないので、気を付けたい。

 モンタナ州は、米国でもスピードに寛容な州として知られていた。90年代後半には州際道路での昼間の制限速度が撤廃されたこともある。日本より少し面積が広い州に人口は100万人だから、都市部を除けば車はあまり走っていない。時として30分間、約50kmの間民家はおろかガソリンスタンドも店もないという経験をするほどだ。すれ違う車もほとんどない。

 モンタナ州では昼間10マイル(夜間5マイル)までの速度超過は、違反として記録されず、自動車保険の会社に連絡されることもなく、保険料金の上昇にはつながらないようだ。65マイルの制限速度の時には、軽微なスピード違反はその場で反則金を支払う制度が導入されていたほどだ。その場で現金を支払う制度は珍しいが、一部の途上国では警察官が違反もみ消しのためその場で現金を要求することがある。途上国の駐在経験がある人が米国に駐在を始めた時にシカゴの街中で運転中信号無視容疑で警察官に呼び止められた。

 今までの経験では、現金を渡せばややこしい手続きを免れると考え現金を渡そうとしたところ、逮捕すると静かに告げられた。急いで米国に来たばかりで制度を知らないが、この場で罰金を払う制度ではないのか、とその場を取り繕い逮捕は免れたが、一部の途上国で行われていることを米国で実行するのは無茶だ。

 州際道路の最高制限速度が州により異なるので、州を越えて運転する時には注意が必要だ。たとえば、最高制限速度80マイルのネバダ州から70マイルのカリフォルニア州に入り、そのままのスピードで運転をしていると州境を超えたところで警察官がスピードを計測していたりする。


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