2024年12月12日(木)

WEDGE REPORT

2019年4月10日

 NHKの「チコちゃんに叱られる!」ではないが、海外では「ぼっーと生きてるんじゃないよ!」を実践したい。海外に慣れているはずの人たちでも、ちょっとした油断で欧米で結構犯罪に巻き込まれている。私も何度か難を逃れたが、それは犯罪にあった知人から手口を聞いていたからに他ならない。海外旅行には緊張感も必要だ。

 私が経験した未遂事件を含めて、最近の欧州の犯罪の手口を学んでおきたい。

パリの地下鉄(Celli07/gettyimages)

危ない鉄道と駅

「パリRER(郊外鉄道‐中心部は地下鉄)」

 パリのシャルル・ド・ゴール空港と都心を結ぶ郊外列車RER、B線は便利だが、治安が悪い地区を通ることでも有名だ。荷物を持って空港から、あるいは空港へ向かう列車に乗る時には要注意だ。列車に乗ろうとすると、入り口に数人立っており、列車の扉を入ったところから中に入れてくれない。立っている人を避けて右に行こうとすると、連中も右に動く。左から中に入ろうとすると、連中も左に動く。諦めて扉近くに立ったら、アウト。

 列車の扉が閉まる直前にあなたの荷物を奪い連中はホームに降り、閉まった扉の向こうで手を振ってバイバイされる。荷物ともバイバイだ。知人がこの手で荷物を奪われた。私も一度パリ中心部のシャトレ-レ・アル駅からB線に乗ろうとした際に、3人組の男性に邪魔をされ中に入れてもらえなかったことがある。知人から手口を聞いていたので、直ぐに隣の車両に移り被害に合わずに済んだ。手口を知られていると思ったのか、3人組は諦めて追いかけて来なかった。

欧州国際列車

 欧州内の移動は鉄道が結構便利だ。ただ、駅によってはホームが低く荷物を車両に入れるのに手間取ることがある。窃盗団が付け入るのは、その時だ。ブリュッセル南駅(ミディ駅)はユーロ―スターなど国際列車が発着するため日本人の利用も多い。

 知人がこの駅で荷物を車両に積み込んでいるときに、親切にも手伝ってくれる人がいた。ただ、車両に入ると座席のある号車と反対の号車に荷物を持って行こうとする。知人は、「そっちじゃないよ」と呼びかけるが、手伝ってくれた人は荷物を引っ張っていこうとする。何度か呼びかけているうちに、相手も分かったのか手を離した。ほっとして座席について、チケットを確認しようとしたら、チケットも財布もパスポートも、ポケットの中に入れていたものは何もない。荷物の引っ張り合いをしているうちに、引っ張っていた男の仲間に全て掏られていたのだ。

パリ北駅

 駅でも注意が必要だ。駅で乗り換え方法とか道を聞かれることがある。わざわざ観光客と分かる日本人に尋ねるのは変と思うが、変ではないのだ。目的は道を聞くことではないからだ。立ち止まって二言三言話をして、ポケットに手を入れれば、入れていた筈の財布がない。話をしている間に仲間が掏っているのだ。ユーロスターが発着するパリ北駅などは絶好の稼ぎ場だ。ユーロスターに乗るためには1時間以上前に到着するのが普通だ。改札が始まっておらず時間をつぶすことになる。

 駅構内のコーヒーショップで並んでいると、前に並んでいた人から話しかけられることがある「日本人かい。俺も日本に行ったことがあるよ」。列に並び雑談をしている間にズボンのポケットの中のものはなくなっている。日本ではズボンのお尻のポケットに財布をいれている人が結構いる。欧州にはまずいない絶好のカモだ。ズボンのポケットから掏られてもその場で気づく人はまずいないようだ。


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