WEDGE REPORT

2019年9月4日

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海面上昇は7メートル?

 今年1月米国科学アカデミー紀要に掲載されたグリーンランドでの氷の溶融に関する論文によると、溶融の速度は2002年から03年にかけ転換点を迎え、2003年との比較で2012年までに4倍になっているとのことだ。日本の約6倍の面積があるグリーンランドの80%を覆っている氷の厚さは最大3キロメートルあるとされるが、2002年から16年まで年平均2800億トンの氷が溶融している。

 米国フロリダ州とニューヨーク州を合わせると日本の約80%の広さがあるが、両州を人の腰の高さまで満たす量になる。15年間の溶融量が全て海に流出しているならば、世界の海面を1センチメートル上昇させたことになる。

 今年の夏欧州は熱波に襲われたが、熱波は欧州からグリーンランドに達し、7月29日、30日にかけ異常な気温上昇がグリーンランド中心部に位置するサミット観測所で観測された。29日には11時間以上零度を上回った。8月3日にかけ気温は、1981年から2010年の平均を摂氏3度から9度上回る状態が続き、この間の氷の溶融量は1日当たり120億トンから240億トンに達した。

 20世紀を通しグリーンランドでは9兆トンの氷が溶け海面を2.5センチメートル上昇させたとの報告がある。温暖化が進み何世紀かに亙り285万立法キロメートルある全ての氷が溶融することが起こると、23フィート(約7メートル)海面が上昇するとの予測もある。映画『不都合な真実』の中ではいつ海面上昇が起こるのかの説明はなかったが、上昇の高さは誇張ではない。

 豊富にあるグリーンランドの資源があまり注目されていなかった理由は、氷に覆われているためインフラの整備が困難であり採掘が容易でないことだったが、温暖化の進展に合わせるかのように、中国を中心にした海外資本が進出し始めた。しかし、インフラも、労働力もない場所での資源開発は簡単ではない。

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