WEDGE REPORT

2019年9月4日

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容易ではないグリーンランドの開発

 グリーンランドは1979年にデンマークの自治領となり、2009年には範囲な自治権を持つことになった。人口5万6000人、主要産業は輸出額の90%以上を稼ぐ水産業だが、他に大きな産業はなく、政府歳出額、約116億デンマーククローネ(約17億米ドル)の約3分の1相当をデンマーク政府からの補助金に依存している。グリーンランド政府は独立を目指しているものの財政状態から難しく、そのため海外から投資を呼び込み財政基盤を強化し、経済的自立、独立を狙っている。

 グリーンランドは地理的には北米に近く戦略的には重要な場所であり米軍基地が置かれているが、グリーンランドへの開発投資に興味を示したのは中国国営企業だった。グリーンランド政府は、経済発展を担うのは資源開発と観光産業と考え、先ず必要なインフラ、港湾、空港、水力発電、鉱山開発設備について中国国営企業、CSCEC(中建)、CHEC(中国港湾)、シノハイドロ(中国水電)と議論を行ったが、現時点で合意に達したとの報道はない。投資額に対し適切なリターンを得ることが難しいためとみられている。

 グリーンランドは、原油を初めとした多くの鉱物資源に恵まれているが、その自然条件から採掘は簡単ではない。温暖化による氷床の溶融は資源開発を徐々に可能にしているものの、カナダのシンクタンク・フレーザー研究所の2018年のレポートによると、世界の83の国、州の中でグリーンランドの鉱物資源への投資の魅力度は、アフリカ・ジンバブエに次ぐ63位だ。しかし、その条件下でも中国企業は資源開発に乗り出している。

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