欧州はEVの時代か
2019年1月‐6月期、EUでのEV販売台数は259000台、前年同期比34%増となった。EVの内訳ではBEVが79%増に対し、PHEVは13%減となっている。EVに占めるBEVの比率は前年同期の51%から68%に跳ね上がった。このBEVの好調な販売は7月、8月も続き前年同月比それぞれ90%、69%増となっている。一方、PHEVは19%減、29%減と減少傾向が続いている。
PHEVの販売が減少している理由としては、昨年11月に導入された新排ガス試験方法がPHEVに不利に働いたこと、また英国のようにPHEVへの補助金を廃止する国があったことが挙げられている。好調なBEVの販売増を支えているのはテスラ・モデル3だ。今年1月から8月までモデル3は46500台販売されており、販売台数1位になっている。2位はルノーZoe(31200台)、3位三菱アウトランダーPHEV(24600台)、4位BMW i3(21400台)、5位日産リーフ(21300台)と続いている。
テスラは初の海外工場を中国上海に建設中であり、今年中に操業開始予定だが、欧州での販売が好調なためかドイツにおいても新工場を建設する計画があり、土地を物色していると複数のメディアが報じていいる。
国別の販売台数では、ドイツがノルウェーを抜き、EU内で初の一位となった。ドイツ政府の支援策に加え温暖化問題に関心を持つ消費者がEVを購入しているのだろう。メーカーもEVに力をいれておりフォルクスワーゲンは、2028年までに70のEVモデルを導入するとしている。また、EV導入政策に関し意見の相違があるドイツ自動車工業会を脱退することもあるとの同社発言を地元紙は伝えている。
SUVでも電動化が進めば、温暖化の問題に関しては有効な対策となりえる。電源構成と蓄電池の性能によるが、CO2排出量は半減することになる。しかし、メーカーにより考え方は異なるようだ。英国ジャガー・ランドローバーは、今年7月英国工場でEVを製造すると発表したが、大型SUVは空気抵抗が高く、また大型の蓄電池が必要になることからEV化には適しておらず、他の燃料電池などの技術を考えるべきと同社エンジニアリング部門の責任者は発言している。一方、BMWは燃料電池の価格は依然高く、蓄電池の10倍すると指摘し、蓄電池の改良が当面の最善策としている。
ドイツでのSUVへの逆風は強まる可能性がありそうだが、逆風解消策は簡単には見つかりそうもない。
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