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2019年10月9日

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アジア初開催のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会。過去の大会を取材してきた、ラグビーの本場イギリスのBBCスポーツの記者からは、「これまでと全然違う」という声が上がっている。

予想不可能

クリス・ジョウンズBBCラグビーユニオン記者

日本では何が出てくるのか決してわからない。退屈知らず。楽しいことばかりだ。

例えば、天気を予測するのは不可能に思える。どんな日も、完璧な晴天かと思えばどしゃ降りの嵐に見舞われる可能性がある。朝食では、生の牛肉から魚のシチュー、ドーナツ、ケーキまで、何が出てきてもいいように備えておくことが求められる。

日本人は礼儀正しく控えめな国民にしては、おいしい食べ物と飲み物を楽しみながら羽目を外すのが大好きだ。そんなときはカラオケボックスがよく使われる。


番狂わせ

トム・フォーダイスBBCチーフスポーツライター

どのW杯も1次リーグで、驚くべき試合が必要だ。確立された秩序を乱し、予想を狂わせ、どうせ結果は決まっているからと見向きもしなかった試合を見ることになるような。

2007年はフィジーがウェールズを破った。2011年はトンガがフランスを下した。そして2015年にはあの有名な、日本の南アフリカ戦での勝利があった。

今回のW杯が見せてくれているのは、孤立した1回限りの勝利ではなく、たぶん、ずっと続くであろう物語だ。日本がチーム史上初の決勝トーナメント進出を果たせば、スコットランドには惨事だが、大会にとっては素晴らしいことだ。

日本以外のティア2(ラグビー伝統国ではない国)の各国は苦戦しており、ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーにとって頭の痛い問題となっている。開催国がベスト8入りすれば、そうしたラグビー界の無数の問題点をひとまず覆い隠すことができる。



日本人ファン

ルイーズ・グウィリアムBBCラジオ5ライブ、ラグビーユニオンプロデューサー

このW杯への日本人ファンの熱の入れようは、これまで取材したどのW杯よりすごい。

彼らは観戦したすべてのチームのジャージーを買うだけでなく(何百人もの日本人ファンがナミビア代表のウェア一式とバックパックや何やらを身に着けた姿を想像してみてほしい)、すべてのチームの国歌を学び、情熱あふれるアルゼンチン人や、大声を張り上げるフランスの男女、数カ国語を操る南アフリカ人たちと一緒に歌う。



言葉

ポール・グレイソン元イングランド代表フライハーフ(スタンドオフ)、BBCラジオ5ライブ解説者

ほんの少ししか地元の言葉が話せないのに、これだけ温かい反応が返ってくるのは初めてだ。

こんにちは、ごめんなさい、すみませんなど、ものすごく幅広い事象の中から6種類ほどのことを、私は日本語で言える。

声をかけた人の反応は本当に楽しい。彼らは日本語でていねいに話しかけてくれる。私はうなずき、笑顔を見せ、あれこれ指差す。

歓迎されていると感じると同時に、異国にいることを実感する。英語で大声でがなってもここでは何もできないだろうし、本来そうあるべきなのだ。


敬意

ベッキー・グレイBBCスポーツジャーナリスト

日本の社会からは、敬意について多くのことを学べる。電車の中は、旅行者に電話を使わないよう注意するお知らせが張り付けてある。試合のある日には、他の乗客を「不快な気分にさせない」ようファンに呼びかける放送が英語で流れる。

他者への敬意を重んじる文化は、ピッチの上にも表れている。試合が終わると、チームはそのまま残って一周し、スタジアムの四方に向かってお辞儀をする。これは、他人に感謝を示すときの日本人の慣習だ。

舞台裏でも、チーム同士が敬意を表明し合っている。王者ニュージーランドは63-0でカナダを破った後、敵だった選手たちを更衣室に招き入れて、ビールで乾杯した。



ルール

ルイーズ・グウィリアム、BBCラジオ5ライブ、ラグビーユニオンプロデューサー

日本人はルールが大好きだ。きっちりと守るし、そうすることで日本での生活はとても快適で容易なものになる。

交差点では全員、信号機が青になるまで待つ。他に誰もいない裏道でもだ。電車のホームにはどこに列をつくるのかの印があり、列に割り込む人はいない。

電車は時間通りだし、1分以上遅れたら謝罪の放送がされる。それに、家の中では靴を脱がないといけない。スポーツジムは外靴のままでは入れないし、プールでは全員、帽子をかぶらないといけない。


もてなし

ギャレス・ルイスBBCラジオ5ライブ、コメンテーター

これまでで最高の瞬間は、東京の小さなバー兼レストランで、マーマイト(酵母が主原料のイギリス特有の食品)の瓶が出てきたときだ。イングランド対アメリカの試合を見ようとその店に入って、西洋人がいない場所に落ち着いた。

客のほぼ全員が英語で話しかけてきた後、イギリス人の客が来たことをとても喜んだバーのオーナーは、カウンターの裏からマーマイトの瓶を取り出した。そして、私たちにそれを持たせ、写真を撮ったのだ。

さて、ラグビーについては……どんな予想もしていないが、ウェールズがオーストラリアを32年ぶりに(ついに)破ったのを目にしたのは、かなり特別な体験だった。

家でテレビ観戦するときは静かにはせず、パスやキックの一つひとつや、耐え難い緊張の瞬間を一緒に体験することが多い。それを全部、試合の解説でするのは、忘れがたい経験だった。

(英語記事 'Unpredictable weather and unique fans'

提供元:https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-49969314

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