2023年2月7日(火)

Wedge REPORT

2019年10月11日

»著者プロフィール
閉じる

中澤幸介 (なかざわ・こうすけ)

リスク対策.com編集長、新建新聞社常務取締役

リスク対策.com主筆、新建新聞社取締役。熊本地震への対応に係る検証アドバイザーを務めた。

豪雨・高潮

 高潮の被害も甚大だ。一般的に台風の中心部は気圧が低く、気圧が1ヘクトパスカル下がると海面が1cm上昇する。台風による「吸い上げ効果」と呼ばれるもので、さらに台風に伴う風が沖から海岸に向かって吹くと、海水は海岸に吹き寄せられて「吹き寄せ効果」と呼ばれる海岸付近の海面上昇を引き起こす。

 この場合、「吹き寄せによる海面上昇は風速の2乗に比例し、風速が2倍になれば海面上昇は4倍になる」(気象庁HPより)という。東京都が2018年3月30日に発表した「想定し得る最大規模の高潮による浸水想定区域図」では、最悪の場合、都内東部を中心に17区に浸水が広がり、23区の3分の1にあたる約212平方キロメートルが浸水するという想定となっている。台風15号ではこの高潮により、神奈川県内で沿岸部の企業や商業地で被害が相次いだ。このほか、豪雨による河川の決壊、内水氾濫なども想定される。

 http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/03/30/03.html

 豪雨・高潮対策としては、あらかじめハザードマップなどで自分のいる場所の浸水リスクを把握した上で、自治体の避難情報に従い、あるいは大雨・暴風になる前に、それぞれの判断で早めに避難をすることが重要だ。台風の特徴は、来るタイミングが分かることである。早めに避難することは最も有効な対策となる。

 自治体もぎりぎりになって避難情報を出すのではなく、今から避難所を開設しておくぐらいの対策をしてほしい。さらに、企業などで浸水が防げない場合は、コンピューターや重要な設備をなるべく高い場所で窓際からは離れた場所においておくことも有効かもしれない。

環境の変化

 もう1点、平時と異なる環境の変化についてもリスクとして挙げておきたい。それはワールドカップ開催に伴う外国人の増加である。多くの外国人には台風情報が伝わっていないことを想定しなくてはいけない。そのような中で、台風が直撃した際に外国人へどう情報を提供するのか。外国人が被災すれば、その情報は瞬く間に世界中に広がり、来年の東京2020にも影響を及ぼす。

 最後の外国人への対応については、行政が中心に多国語で今の段階からしっかり情報発信をすることが重要だ。また、公共交通機関、ホテル、飲食店などでも、外国人顧客に対し注意を呼び掛け、不要不急の外出を控えてもらうなど、注意を促していく必要がある。

 これらは対策の一例だが、台風による被害をイメージして、今のうちからできる対策をしておくことが大切だ。最後に、週末も営業をしている業種では、再度、社員に対して命を最優先に行動することを伝えてもらいたい。被害を受けてしまってから時間を巻き戻すことはできない。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

編集部おすすめの関連記事

新着記事

»もっと見る