Wedge REPORT

2019年10月15日

»著者プロフィール
閉じる

大河原克行 (おおかわら・かつゆき)

ジャーナリスト

電機、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を行う。『ソニースピリットはよみがえるか』(日経BP社)など。

学生向けのラウンジ

 だが、こうした動きを捉えた報道にも、変化が見られている。

 パナソニックが、20回目にして初めて出展を取りやめたというニュースは、かつてのCEATECの状況であれば、CEATECの「衰退」や「迷走」といった形で表現されただろう。 

 しかし、パナソニックの出展取りやめに触れた複数のニュースを見ても、そうした表現はまったく見られず、パナソニックの独断の判断という論点から報じられている。

 見方を変えれば、CEATECには「CPS/IoT Exhibition」、「Society 5.0の総合展」としての地盤が作られつつあり、家電のトップメーカーであるパナソニックが出展しなくても成り立つ展示会になったということの裏返しだともいえる。

 電機大手の動きを見れば、パナソニックが撤退し、ソニーが復帰し、シャープが展示を縮小、東芝は相変わらず出展を見送るという状況が続いているが、それらの動きは、もはやCEATECの屋台骨を揺るがす動向ではないというわけだ。

 一方、幅広い業界からの参加が見られるようになったCEATECだが、実は、来場者の変化のなかには、「学生」という観点からも新たな傾向が見てとれる。

 これまでCEATECの会場に訪れる学生は理工系が中心だった。

 だが、昨年のCEATECでは、東京医科歯科大学の医学科1年生103人が教育活動の一環として来場して話題を集めた。

 同医学科では、医療分野に最新テクノロジーが次々と導入され、医療機器だけでなく、医療そのものが変化していることを捉え、医学部の学生が、最新テクノロジーに直接触れる機会として、CEATECを授業に活用したのだ。

 ここでは、単に会場を見学するのでなく、学生自身が身近な課題を解決するために、CEATECに展示された技術や製品、サービスがどう解決できるのかといったテーマを持ち、後日、それを発表するという内容にした。

 CEATEC実施協議会では、今年のCEATECでは、そうした学生の来場が増えることを想定。

 「CEATEC Student Lounge(学生交流ラウンジ)」を新設して、学生向けに情報を提供し、見学や授業をサポートする場とした。また、村田製作所の村田恒夫会長兼社長をはじめとする企業トップによる学生向け講演もこのラウンジで聞くことができる。

 主催者側では、昨年は7500人に学生が来場したが、今年は1万人の学生の来場を見込む。

 来場する学生の幅を広げ、それによって来場者数を拡大することは、「Society 5.0の総合展」の展示会としての新たな役割になるといえそうだ。 

関連記事

新着記事

»もっと見る