中国名を奇瑞汽車という安徽省・蕪湖市出資の官営企業がつくるリッターカーQQは、販売車種の7割近くが同クラスというブラジル市場にヒットした。11年は年初来7月までで、チェリーのブラジル向け輸出台数は2万2395台を記録、前年比3倍以上の伸びを示した。中国車全体のブラジルにおけるシェアは、10年4月にほぼゼロだったのが11年8月には3.3%まで上昇したという。
ブラジル自動車市場は独フォルクスワーゲン、伊フィアット、米GMの3強が3分の2のシェアを握る場所だが、中国車の浸透が無視できなくなってきた。フィアット最高経営責任者のセルジオ・マルキオンネ氏は11年8月、中国車の挑戦は「大変な脅威」だと述べ業界に覚醒を促した。
市場シェアを15年までで3倍にするのを目標とする奇瑞汽車は、ブラジルが採用した輸入関税をかいくぐるため生産の現地化も進める。ブラジルのサン・パウロ近郊に4億米㌦かけ組立工場を建てたほか、ベネズエラ工場も11年9月に完成、操業を始めた。
売りは価格の安さで、チェリーQQフル装備車は同クラスで不完全装備の独車などに比べ邦貨で7~8万円安い。ちなみにチェリーのエンブレムはトヨタ車かマツダ車のそれを思わせる。開発には日本車などを真似ればよく、コストを浮かせる。奇瑞のように官営なら株価重視の必要もない。安くつくれるわけだ。
日本勢にも奮起が必要なところか。
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