オトナの教養 週末の一冊

2019年11月23日

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いつの間にか『あうんの呼吸』でやっていくことが当たり前に

 さて、気になるのは、特に中国人や韓国人など、日本と政治・歴史などで問題を抱えている国の人たちとは、実際どのようなコミュニケーションをとればいいのだろうか。

 「基本的に政治問題については、話をしなくて大丈夫です。こと中国人、40代くらいまでの人は、政治に対してドライです。文化という意味では、なんで着物があるのか? 日本の食習慣など、日本人でも知っているようで知らない文化について話すと喜ばれます。われわれも、小中高と学校教育のなかで日本文化について教えてもらっていますが、大人になるにつれて、忘れてしまいます。そして、大学時代、就職してからも日本人同士でしか付き合わないから、いつの間にか『あうんの呼吸』でやっていくことが当たり前になってしまいます」

 このところ、中小企業においても将来の海外進出を想定して、外国人留学生を採用する会社も出てきたが、「語学ができるだけで採用すると、後で禍根を残すことになる」と大内さんは指摘する。日本人の採用であれば、きちんとした基準の元に合否を決めるにもかかわらず、外国人となると、その基準が曖昧になる会社があるという。

 実際、大内さんは採用の際に「接客業なので一日中立ち仕事になることや、ワンストップイノベーションでの採用を踏み台にして、派遣先で直雇用されるほど評価されたほうが将来が開けること」などを話しているという。業務内容や、キャリアプランを事前にしっかりと説明しておくということだ。

 最初にも書いたとおり、現在の日本では、技能実習生や留学生など、人手不足の穴埋めとして使っている。しかし「せっかく日本にきて、時には借金までして、学校に入って、就職なしでは、『日本は嫌な国』となってしまいます」と大内さん。外国人材を都合よく使うだけではダメだということだ。むしろ、そのしっぺ返しは、日本に返ってくる。

 「現在、十分とは言えませんが、外国人への教育は行われています。でも、日本人が外国人材との接し方について学ぶ機会はほとんどありませんし、そもそも学ぶことの必要性も認識していません。努力しなければならないのは、我々日本人も同じなのです。意識の変革も必要です。いまだに『外国人って安くないんですか?』と、人件費の事ばかり聞いてくる企業の人事担当者もいますが、同一労働同一賃金は、日本人でも外国人でも同じです。国際化が進むなかで、外国人材を日本国内において取り入れて新しい付加価値を作ることができなければ、国際競争力を維持することはできません」

 最後に、大内さんはこう付け加えてくれた。

 「働く外国人にも日本企業が選別・選択されているということを、我々一人一人が忘れてはならないと思います!」

  
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