海野素央の Love Trumps Hate

2019年11月22日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

  • 5日間にわたって行われたトランプ弾劾公聴会が終了
  • ここでは、米陸軍中佐と、副大統領の外交顧問の2人の証言に注目する
  • 現役陸軍中佐が大統領を批判するのは、異例中の異例
  • これを受けてペロシ下院議長は弾劾戦略を見返りから賄賂に変更した
ジェニファー・ウィリアムズ外交顧問(左)と、アレクサンダー・ヴィンドマン米陸軍中佐(REUTERS/AFLO)

 今回のテーマは「トランプ弾劾公聴会」です。ドナルド・トランプ米大統領がウクライナに軍事支援を見返りにして、政敵のジョー・バイデン前副大統領(民主党)と次男のハンター氏に対する汚職調査を要求した疑惑、いわゆる「ウクライナ疑惑」を巡る弾劾公聴会が5日間にわたり、下院情報委員会で開催されました。

 トランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の電話会談を直に聞いた国家安全保障会議(NSC)のアレクサンダー・ヴィンドマン米陸軍中佐とマイク・ペンス副大統領の外交顧問ジェニファー・ウィリアムズ氏の証言に関心が集まりました。

 そこで本稿では、両氏の証言の共通点を挙げ、それに基づいてトランプ大統領が公表した通話記録の信憑性に関して述べます。加えて、野党民主党のトランプ弾劾戦略について説明します。

削除された「ブリスマ」

 ヴィンドマン陸軍中佐と、ウィリアムズ外交顧問は11月19日、トランプ大統領とゼレンスキー大統領が電話会談の中で、ハンター氏が役員を務めていたウクライナのガス会社「ブリスマ」について語ったと証言しました。これは注目に値する証言です。

 というのは、公表された通話記録にはブリスマに関する会話内容が記述されていないからです。つまり、意図的に削除されたということになります。

 『下品極りないトランプの攻撃』で説明しましたが、トランプ・ゼレンスキー両氏の電話会談は30分間行われました。ところが時間を計ってみると、公表された通話記録は13分34秒で、約17分30秒の会話内容の記録が消えていました。会談は同時通訳でしたのでタイム差はありません。

 それにもかかわらず、トランプ大統領は「通話記録は完璧だ」「私は透明性が好きだ。私は最も透明性の高い大統領だ」と強調しています。これらの発言の信憑性は低いと言わざるを得ません。

 ヴィンドマン陸軍中佐とウィリアムズ外交顧問の証言により、トランプ大統領が隠蔽工作をした公算が高まりました。

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