海野素央の Love Trumps Hate

2019年11月9日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授、心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08~10年、12~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年及び12年の米大統領選挙においてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。著書に「オバマ再選の内幕―オバマ陣営を支えた日本人が語る選挙戦略」(同友館)など多数。

 今回のテーマは「共和党支持層における本当のトランプ支持率」です。ドナルド・トランプ米大統領は10月31日の米ワシントン・エグザミナー紙とのインタビューで、ジョー・バイデン前副大統領及び次男のハンター氏に対する調査と、ウクライナへの軍事支援を交換条件にして圧力をかけた疑惑、いわゆる「ウクライナ疑惑」を巡る弾劾調査に関して、「支持基盤に活力を与え、民主党に逆効果になるだろう」と語りました。

 しかし最新の共同世論調査をみると、共和党支持層におけるトランプ支持率は低下しています。そこで本稿では、最新の世論調査の結果を紹介しながら、トランプ大統領の信憑性に欠ける発言を分析します。

(cbies/gettyimages)

共和党支持層のトランプ支持率を下げる証言

 トランプ大統領の主張と相反する世論調査結果が出ています。

 第1に、身内の共和党支持層のトランプ支持率です。トランプ大統領は共和党内の支持率が95%であると、自身のツイッターに繰り返し投稿しています。

 ところが、ウクライナ疑惑が浮上した後に行った米ワシントン・ポスト紙とABCニュースによる共同世論調査(2019年10月27-30日実施)によれば、共和党支持層のトランプ支持率は74%で、これまでの同調査の中で最も低い水準になっています。ウクライナ疑惑の影響があったとみてよいでしょう。

 米議会では下院民主党がウクライナ疑惑に関して非公開の聴聞会を開催しました。米メディアはウィリアム・テイラー駐ウクライナ代理大使が、「バイデン親子に関する汚職調査と軍事支援との交換条件の提示があった」というトランプ大統領にとって極めて不利な証言をしたと報じています。

 加えて米メディアは、ゴードン・ソンドランド欧州連合(EU)大使が「バイデン親子に対する捜査は覚えていない」という前回の証言を修正し、「ウクライナ政府がバイデン親子の捜査を実施するならば、軍事支援を再開するだろう」と、同国の高官に伝えたと報道しています。これも交換条件の提示を否定しているトランプ大統領の信頼性を損なう重要証言といえます。

 ウクライナはEU加盟国ではないのにもかかわらず、トランプ大統領はキャリア外交官のテイラー駐ウクライナ代理大使ではなく、政治任命のソンドランド駐EU大使を同国との交渉に使いました。ソンドランド大使はトランプ大統領の就任式実行委員会に100万ドル(約1億900万円)の献金をしているので、トランプ氏は同大使には忠誠心があると判断したのでしょう。

 その判断は誤っていました。ソンドランド駐EU大使が証言を修正した理由は、偽証罪に問われることを回避したからです。結局、ソンドランド大使はトランプ大統領ではなく、自分に対して忠誠心があったのです。

 テイラー代理大使に加えて、ソンドランド氏も公開の公聴会で証言することになれば、共和党支持層のトランプ支持率をさらに下げる可能性があります。

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