バグダディ容疑者殺害とトランプ支持率
第2に、過激派組織「イスラム国(IS)」の指導者アブバクル・バグダディ容疑者殺害と支持率の関係です。トランプ大統領は11月4日、南部ケンタッキー州ルイビルで行われた支持者を集めた集会で、「バグダディは死んだ。私がISを破った」と豪語し、同容疑者殺害を外交成果として強くアピールしました。
ただ、2001年9月11日にニューヨークで発生した米同時多発テロの首謀者で国際テロ組織アルカイダのリーダーオサマ・ビンラディン容疑者殺害と比較すると、バグダディ容疑者殺害は支持率に殆ど影響を与えていません。
バラク・オバマ前大統領は2011年5月1日、ホワイトハウスでビンラディン容疑者殺害を発表しました。米ギャラップ社が当時実施した世論調査におけるオバマ支持率をみると、同年4月25日から5月1日までの週の平均値は44%でした。発表後の5月2日から同月8日までの平均値は51%で、7ポイント上昇しています。
一方、上で紹介した米ワシントン・ポスト紙とABCニュースによる共同世論調査によれば、トランプ大統領の支持率は39%です。バグダディ容疑者殺害前の同調査(2019年9月)と比較すると支持率に変化はありません。
トランプ大統領にとってさらに悪いことに、バグダディ容疑者殺害の「手柄」に関する同調査(2019年10月30日実施)をみると、約5割が「トランプ大統領の手柄」であると答えているのに対して、約4割が「トランプ大統領以外の手柄」と回答しています。おそらく、約4割の中にはクルド人の手柄と捉えている有権者がいることは間違いありません。
ちなみに、オバマ前大統領がビンラディン容疑者殺害に成功したとき、約8割が同前大統領の手柄と答えています。