2024年11月22日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2019年11月22日

陸軍中佐の覚悟

 米議会公聴会で国家安全保障会議の陸軍中佐が、大統領を批判するのは異例です。自分のキャリアを考えれば、かなりリスクが高いことは間違いなのですが、ヴィンドマン陸軍中佐はトランプ大統領に不利な証言をしました。

 米メディアによれば、ユダヤ系ロシア人のヴィンドマン陸軍中佐は3歳のときに、父親に連れられて3人の兄弟と一緒に旧ソビエト連邦から自由と希望を求めて米国に移住しました。当時、父親の所持金はわずか700ドルでした。

 ヴィンドマン陸軍中佐は冒頭陳述で、「お父さん、今日、私が米連邦議会で議員に証言をすることが、あなたが40年前にソビエト連邦を離れて米国に来るという正しい判断を下した証明です。心配しないでください。真実を語りますから」と述べました。テレビ中継を観ていた米国民の中には、「米国の物語」を語ったヴィンドマン氏の「人間味」に溢れた声明に深い感銘を受けた人もいるでしょう。

 ヴィンドマン陸軍中佐は、「米国の大統領が外国政府に米国民と政敵を調査するように要求することは不適切である」と証言しました。政敵の調査は国家安全保障問題とは無関係だというのです。

 さらに、ヴィンドマン氏はホワイトハウスで7月10日に行われたウクライナ政府高官との会議においてトランプ大統領が政治任用したゴードン・ソンドランド欧州連合(EU)大使が、バイデン親子とブリスマの調査の話を持ち出したと証言しました。

 ちなみに、非公開で行われたヴィンドマン陸軍中佐の証言記録を読むと、このときソンドランドEU大使は、ウクライナ側にトランプ大統領との首脳会談開催の条件として、バイデン親子とブリスマの調査を要求したと記述されています。

 同じ会議に出席していたジョン・ボルトン元大統領補佐官が、ソンドランドEU大使の発言を聞いて、会議を打ち切ろうとしたとも記してあります。ヴィンドマン陸軍中佐と同様、ボルトン氏もバイデン親子とブリスマの調査は「不適切」であると判断したからでしょう。


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