海野素央の Democracy, Unity And Human Rights
2019年11月22日
現役米陸軍中佐は、なぜトランプに不利な証言をしたのか?
海野素央
(明治大学教授 心理学博士)
海野素央
(うんの・もとお)
明治大学教授 心理学博士
明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。
フォーカスグループの力
ペロシ氏がトランプ弾劾戦略を修正したもう1つの理由を挙げましょう。米メディアによれば、民主党はフォーカスグループを使って有権者を対象に調査を実施しました。
フォーカスグループは、マーケティング調査手法の一つで、司会者が複数の顧客や有権者を部屋に集めて、製品、候補者、政策及び選挙メッセージに関する情報を引き出す手法です。民主党はフォーカスグループを通じて、「見返り」や「権力乱用」よりも「賄賂」という言葉を用いる方が有権者に強くアピールできるという結果を得ました。
これについて米メディア及び共和党は、民主党はフォーカスグループを活用してトランプ弾劾戦略を変更したと揶揄しています。しかし、弾劾に関するメッセージの効果性について調査を実施するのは当然でしょう。いずれにしても、民主党はトランプ大統領の言動が弾劾に相当することを明確に有権者に示し、共和党上院の結束を崩す必要があります。

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