2024年6月15日(土)

オトナの教養 週末の一冊

2019年11月29日

なぜ日本の経営者は不安なのか?

 「技術者が経営に関わるとなぜよいのかといえば、デジタル化に向けた急速な革新や次に芽を出しそうな“タネ”に対して、鋭い嗅覚を持っているからです」

 といって、五十嵐さんは「技術者、至上主義」だと言っているわけではない。世界を見渡してみれば、経済学とエンジニアリングのダブルデグリー(2つの学位)を持っていることが当たり前になりつつあるいま、日本のように「文系、理系」と、分けているのがナンセンスなのだ。文系の人は、テクノロジーやサイエンスを、理系の人は、人文学や社会学を学びなおしが必要になる。

 本書でも紹介されているように、KPMGがまとめた「グローバルCEO調査2019」によれば、「自社の経営モデルの抜本的な変革を率いていく準備が個人的にできているか?」という問いに対して、アメリカのCEOの91%がイエスと答えたのに対して、日本のCEOの47%が、自信がないと答えている。

 こうした結果になるのも「日本の経営者の視野が狭いからではないか」と、五十嵐さんは指摘する。

 自らの視野を広げるためには、社会人大学院になどに通うことも一つの手段だろう。また、企業そのものも多様性を広げる必要がある。企業としては、M&Aやベンチャー企業との協業がその手段となるが、現在のところ目立った成果がでていない。

 これについて五十嵐さんは「新しい企業群」という形を提唱する。

 「強い企業同士がつながる『エコシステム』は、下手なM&Aよりもはるかに両社の成長を促す」

 要するに、形だけM&Aをして一緒になるよりは、「経営権なしでもビジョンを達成するという大きな意図でつながった企業集団・グループ・群」を形成したほうがよいということだ。


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