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2019年12月21日

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 世界で初めて5Gネットワークを米国内で実現した米通信大手ベライゾン。12月に入り、ロサンゼルスでの5Gサービス開始を発表したが、これによりロサンゼルスはベライゾンにとって5Gネットワークを提供する19番目の都市となった。

(MARHARYTA MARKO/gettyimages)

 ベライゾンではこれまでフットボールスタジアムなどを中心に、ウルトラワイドバンド、ショートレンジ5Gサービスをテスト運用してきた。ベライゾンが提供するのは超高速ではあるがカバー範囲が非常に狭いサービスだ。スタジアム内ではサービスを利用できても、一歩外に出ればもう5Gにはつながらない。これとは反対に全国にサービスを広げているライバル通信会社、T−Mobileのものはそこまで高速ではない、中速5Gの代わりにカバー範囲が広い。T-Mobileが提供するのが「これまでの4Gをより高速にしたもの」とすれば、ベライゾンが目指しているのは「新たな通信革命であり、我々の生活や仕事、コミュニケーションに大きな影響を与え、インターネットを次のステップに導くもの」だという。

「馬車から車への飛躍くらいの変化」

 12月にロサンゼルスで開催された「Future of Video 」というコンフェレンスで基調演説を行ったベライゾン社のエリン・マクファーソン氏(チーフコンテンツオフィサー)は、5Gへの移行を「馬車から車への飛躍くらいの変化」だと語った。この変化は自動運転技術から産業ロボット、AI、XR(拡張現実)、IoTと様々な分野に影響を与える。

 今回はコンテンツの提供者としての立場から、マクファーソン氏は特に家庭用のOTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれるストリーミングビデオについて、5Gで何が出来るのか、そしてコンシューマーはそれをどのように楽しめるのかについて解説した。

 まずベライゾンが力を入れてきたNFL(アメリカンフットボールリーグ)でのスタジアムでの体験。5Gにつなぐことにより、目の前のゲームをライブで楽しむ他に、選手のデータや日常を紹介するショートビデオを同時に視聴できる、グループでのバーチャル体験が可能となる。現在ベライゾンはNFLと「5Gネットワークによりどのような新しいスタジアム体験を来場者に提供できるのか」について協議中だという。5GによりリアルなVR体験が可能になれば、視聴者が実際にゲームの中に入り込んで迫力あるスポーツを間近で見る、といったことも近い将来実現するかもしれない。

 同様に音楽のコンサートでも5GでXRを提供することにより、人々がよりコンサートを行っているアーティストに対する理解を深め、通常とは異なる新しい体験が生み出せる。ベライゾンでは実際に若者に人気のバンドのコンサートに25人のインフルエンサーを招待し、5GでのXRコンサートを体験してもらう、などを通して将来の可能性を追求している。ロサンゼルスにあるYahooのオフィスと提携し、5Gラボを設立したのもその一環だ。

 ビデオストリーミングについては、90分の映画のダウンロードが3秒足らずで出来るようになる。この速度によりスマホなどのデバイスの超軽量化が可能になるという。大量のデータが同時にダウンロード出来ることにより、例えば「スマートTVで2つのウィンドウを開き、異なるストーリーを見ること」も出来るようになる。大画面TVを複数で楽しむ、あるいはよくある1つのストーリーのサイドストーリーを分割画面に流して楽しむ、など利用の仕方は様々なものが考えられる。

 ベライゾンはアマゾンやYouTubeなどのように独自のビデオコンテンツの制作は行っていないが、ビデオ製作のプログラミングにおいてソニースタジオ、ディズニースタジオと提携したことも発表された。5Gを用いたリアルタイム・エディティングが可能となれば、例えば視聴者が参加してストーリーの進め方が変わっていく、という新しいタイプの映像体験が可能になるかもしれない。

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