ペットビジネス最前線

2012年5月14日

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 今回改正された条文は、動物を扱う側が商品たる生き物に対して社会通念上あまりにも適切ではない扱いを続けているため、業者側としては厳しい内容が盛り込まれています。客側が自らの愛犬を連れて立ち寄るドッグカフェとは違い、猫カフェは飲食店のような形態ですが、前述した通り動物を展示して触れ合わせる施設です。例えるならば動物園の触れ合いコーナーの様なもの。主役はスタッフ猫たちです。動物愛護法は動物を扱う業者、言いかえれば動物を使って利益を上げている人間全てが命を考えるために指標とすべき法律ですので、基本は一律であるべきと考えます。

 省庁の規制の仕方にも問題があります。実はこの規制が入るのは同じ業態では猫カフェだけです。ウサギをあつかう“ウサギカフェ”やもしかしたら現れるかもしれない“フェレットカフェ ”にはこの規制が適応されません。時間規制があるのは犬と猫を扱う業種だけなのです。しかし、愛護法が適応される愛護動物は犬猫だけではありません。「牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの」 全てが対象です。これを見ると猫カフェ側が不服を言うのも頷けます。

カフェで生体販売を行なう業者も

 また、動物愛護団体等はこの措置に対して、「カフェという業態を隠れ蓑に法の目をかいくぐり従来通りの生体販売を行う業者が現れる可能性」について意見しています。実際“カフェ”という業態で違法に生体販売を行っている業者が実在します。店舗内で繁殖を行い、正当な動物取扱業の届け出も行わず、もしくは他人の名義を借りて生体販売までも行っています。素人繁殖による健康トラブルや悪質な勧誘などの金銭トラブルを避けるため、正式に販売を謳っていない店舗からの購入は避けるのが賢明でしょう。

 カフェと言う業態は顧客の滞留時間も長く、コミュニケーションもとりやすいため、生体販売にはもってこいの条件が揃っています。行政側の慢性的な人手不足から、法律はあっても規制にまで手が回らない状態が続いています。隙を狙って「悪徳」と言われる業者があの手この手で利益を上げようとしている中、せっかく厳しく改正された法律に例外を持ちこむことを危惧するのも当然だと思います。

「猫カフェで飼い主さがし」という新しい役割

 猫カフェは、猫との生活を体験する場だと記述しました。時間をかけて触れ合い、コミュニケーションをとることで、お互いの相性を確かめることもできます。その特徴を活かし、飼い主の居ない猫に新しい家族を見つけるための手段として活用しているお店もあるのです。

 通常であれば、飼い主の居ない猫たちは、野良としての生活を強いられるか旧保健所に連れ込まれて生涯を閉じるかの選択しかありません。その命を助けようと、多くの保護団体の方たちが身銭を切って保護し、飼い主を探しています。全てが個人の善意による活動です。猫カフェを活用することで、資金と飼育場所の負担が減り、多くの方に保護猫たちを紹介するきっかけにもなります。

 また、気軽に触れ合える場を与えることで、家庭での無理な飼育やショップでの衝動買い、それによって起きる飼育放棄=野良猫や行政での殺処分の数を減らす可能性も期待されています。全ての店舗で行うには問題がありますが、保護団体が運営する店舗や団体から委託されて譲渡を行う店舗も増えつつあります。このような流れは非常に喜ばしいことと考えますが、本当に喜ばしいのは、保護施設などなくてもよい世の中になることです。

 ペットビジネスを商う側も利用する側も、全ては命を扱う人間側の意識次第なのです。

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