2024年4月30日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年5月24日

 第三に、日本が集団的自衛権を行使できないという解釈をとっているために、日本が真に頼りになる同盟国かどうかの疑念が常に持たれてきたことを指摘しています。

 第四に、2010年以降の日本の国防態勢の変化が、政治的、戦略的構想に裏付けされるようになれば、日本は国際の平和と安全の維持に、今までと画期的に違う役割と果たすだろうと予想しています。

 この2010年の変化は、尖閣をめぐる日中間の緊張から国民の不安が高まり、防衛体制強化に反対しにくい雰囲気ができたことも一因でしょうが、民主党政権になって、官僚統制機構が自民党時代のように上手く機能しなくなり、かえって防衛官僚が自由に政策を推進しやすくなっていたという面もあったように思われます。実際、武器輸出三原則の見直しや、南西諸島防衛、動的防衛力構想はこの時期に始まっています。いずれにしても、長い自民党支配の下、惰性だけで抑えられていた諸施策が次々に実施されてきたのは喜ばしいことです。

 あと解決すべき問題は集団的自衛権だ、というオースリン指摘も全くその通りでしょう。日本は戦略的発想が無いと言われますが、集団的自衛権の行使が禁じられている状況では、表立って戦略論は語れません。つまり、日本の国家的防衛戦略の確立と集団的自衛権の行使容認は表裏の関係にあると言えるでしょう。

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