2022年12月10日(土)

Washington Files

2020年5月25日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

アメリカ的個人主義

 次に、「アメリカ的個人主義 American individualism」がある。

 マスクを着けるか、着けないかは個人の判断に任せられるべきであり、国や地方政府が指図するものではない。レストランで家族で食事するかどうか、店内での感染リスクなどの判断も個人に任せるべきだ……といった考え方だ。

 げんに、南部諸州では、コロナ感染者が全米各地に拡大し始めた後も、星条旗を掲げたマイカー族が州政府の「都市封鎖 lockout」や「自宅退避 stay at home」措置に反抗、バー、クラブなどに押しかけ「人民解放!」を叫びながら気勢を挙げた。

 ところが、政治専門デジタル・メディア「The Hill」が5月19日付で報じたところによると、テキサス州では去る16日に1801人と、1日だけの感染者数としてはこれまでの最多を記録、ノースカロライナ州も同じ日に1日当たり853人とワーストとなったほか、アリゾナ州も過去2番目に多い462人もの感染者を出した。1週間平均の新たな感染者数もこれら3州では依然として増加してきているという。3州に共通するのは、連邦政府から出されていた「外出自粛要請」を無視し、レストラン、理髪店などのビジネス再開に対し州政府が「ゴー・サイン」を出していた点だ。

 また、CNNテレビは同日、コロナウイルス関連解説ニュースの中で、ホワイトハウス、州政府、公衆衛生当局などが感染拡大防止策、経済活動再開などについてそれぞれバラバラの見解を国民に伝え、一本化した方針が欠如していたことが事態を深刻化させてきた原因だとして次にように断じた:

 「当初から対応は一貫性を欠いてきた。アメリカ的特異性と言ってもいい。国家的指針も組織化された経済再開プログラムもなく、公衆衛生専門家たちがこう言えば、州知事たちは違った見解を勝手に述べ、トランプ大統領は何の科学的根拠もない自説を並べ立てる始末だ……結局、我々アメリカ人は自分で(感染拡大防止の)決定を任せられている状態であり、まさに、個人の自由と権限を国家より優先させる伝統的な国民的価値=すなわち、『American individualism』の悪しき症状にほかならない」

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