この大御所によるユーロ解体論は、ユーロ圏諸国が極秘裏に意思の一致を図り、ユーロを葬って旧各国通貨に一斉復帰せよと提案しているものですが、こんな大胆なことは、単一通貨などいつか壊れると思っていた者でなければ、到底書き得ないものです。
また、英国人、特にインテリの多くはそう思ってきたということでしょう。いかにもさもありなんと思わせられます。つまり、これは、面白いけれど、欧州統合の動きに遂に身を入れたことがない英国のインテリからしか出てこない提案だとも言えます。注入してきたコストが少ない分、気軽な話ができるわけです。
ギリシャ危機が引き起こした銀行取り付けの恐怖、ユーロの将来に漂う暗雲は、ついにこんな説までもたらすに及んだ、という意味で、記念碑的論考の一つとなるでしょう。
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