オハイオ、アリゾナ、ウイスコンシン3州でもリードを許す
他の共和党議員たちの間でも、大統領自身による国の分断をかえってあおるような言動に対し、疑問の声もささやかれている。政治専門のデジタル・メディア「The Hill」は去る5日、マルコ・ルビオ上院議員選挙参謀の一人、アレックス・コナント氏の発言として、「一連の大統領の行動は従来の大統領支持層にまで疑問を投げかけている。このような傾向が今後続けば、民主党は大統領選のみならず、議会選挙でも大勝を収めることになる」との悲観的見方を伝えている。他の共和党議員スタッフの中には、「まさに『タイタニック号』の運命をたどりつつある」とコメントする人もいるという。
さらに、最新の一連の世論調査も、大統領にとって手厳しい評価を下している。
マンモス大学が去る3日実施した登録済み有権者を対象とした調査結果によると、大統領選における「トランプ支持」は41%にとどまったのに対し、「バイデン支持」は前回調査(今年4月)から2%増え52%となり、その差は11%とさらに広がった。トランプ氏「再選可能性」についても、前回調査時からさらに9%下がり、わずかに18%となった。
大統領は前回選挙で勝利し、今回接戦が予想されるオハイオ、アリゾナ、ウイスコンシン3州でもリードを許している。
右派系の「フォックス・ニュース」が同日公表したオハイオ州有権者に特定したオハイオ州大学合同調査結果によると、「バイデン支持」45%に対し「トランプ支持」43%と傾勢が逆転した。
アリゾナ州では「バイデン支持」46%、「トランプ支持」42%となった。ウイスコンシン州でも「バイデン支持」がさらに増え49%だったのに対し、「トランプ支持」は40と低迷した。
今年2月のコロナウイルス感染拡大以来、得意の経済も大打撃となり、これまでのところ、大統領にとっては人気挽回策も裏目に出るなど、“憂鬱な日々”が続いている。
外交面でも、国民の関心を一時的にでもそらし、「米国大統領」の威信を印象付けるほどの大イベントも当面見つからない。
そうした中で、トランプ氏が最も期待を寄せたのが、G7サミット開催だった。当初は、自らが所有するフロリダ州の豪華リゾート施設に各国首脳と大勢の内外報道陣を招き入れ、派手な政治ショーの場とする計画だったが、与野党議員たちから「公私混同」「政治の私物化」を批判され、あえなく断念。
その後、ホワイトハウス内とワシントン近郊の「キャンプ・デービッド」で予定通り、6月に開催予定だったが、コロナ危機の影響で、各国首脳から「対面会談」辞退の声があいつぎ、出席者が一同に揃うことなく「ビデオ会議」に切り替えることで実施予定だった。
ところが、派手なセレモニーの場の演出にこだわるトランプ氏は「対面会談」に固執、コロナ感染拡大が収束に向かうことを前提に、「9月に延期」を発表した。同時に、これまでのG7サミットが「旧弊化」していることを理由に、「ロシア、インド、韓国、オーストラリアを加えた拡大サミット」にするよう提唱した。
これまでの参加各国との事前の何の協議もなしに突然、サミット改変構想を打ち出したことについて、各国首脳は慎重姿勢を見せているばかりか、ジョンソン英首相、トルドー・カナダ首相は早々と、この提案に反対の態度を表明している。
このままでは、はたして予定通り9月に7カ国首脳が一同に揃ったサミット開催となるかどうかも、はっきりしないままだ。
内外情勢は、再選めざすトランプ氏にとって、投票日が近づくにつれてかなり厳しいものになりつつある。
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