2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年6月18日

 また、欧州の安全保障に「直接関わらない」アジアについて欧州の考える安保上の利益は、日米韓豪や東南アジア諸国など、アジアの安保問題が自国の安全に「直結する」国のそれと常に一致するとは限りません。それどころか、欧州が中国との関係をより重視し、逆に混乱要因となる可能性もあります。

 さらに、欧州が政治的・軍事的にアジアに「回帰」するとしても、過去に欧州列強によって植民地化されたことがある当のアジア諸国、特に東南アジア諸国がそれをどう受け止めるかについては、十分に、そして慎重に考慮する必要があります。

 また、現在ですら、ASEAN諸国が中国の台頭を念頭に置いた米国の働きかけを全面的に歓迎しているわけではないことは周知の事実です。そのアジアに安易に欧州を巻き込むことの得失について、さらに論点を整理することが必要でしょう。

 以上を踏まえた上で、このオースリンの視点、論点は、前向きに評価すべきものと思われます。

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