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Washington Files

2020年7月20日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

バイデンも対中警戒を高める

 一方のバイデン氏も、対中警戒姿勢で一歩も譲る気配は毛頭ない。

 バイデン氏は今年に入り、外交専門誌「Foreign Affairs」(3ー4月号)に論文を寄稿、この中で対中政策について以下のように指摘した:

  1. われわれは将来に向けた中国との競争に勝ち抜く必要がある。そのためには、世界の民主主義諸国が一緒になり、(中国による)経済上の濫用と不平等な行為を防ぐとともに、そのもてるあらゆるパワーを結集させなければならない。
  2. 私は過去、多くの中国指導者たちと何回となく、わたりあってきたのでよくわかっているが、中国は自分の政治モデルを世界に広げるなど、グローバル・リーチ拡大を企図しており、われわれにとってチャレンジだ。それにもかかわらず、トランプ大統領はわが大切な同盟国であるカナダやEU諸国に対し、無節操な関税を課すことによって関係を悪化させてきた。彼はそうすることによって、中国の真の脅威に対処するためのわが方の能力を削ぐことになった。
  3. わが国は中国にタフであるべきだ。もし、中国がわが道を行くことを黙認するならば、わが国のテクノロジー、知的財産が米国企業から奪い去られてしまうことになる。
  4. 中国の挑戦に対処していく最も効果的方法は、わが同盟諸国、パートナー諸国とともに手を取り合って行動することであり、バイデン政権発足後には、これらの重要な諸国との関係修復・強化に乗り出すつもりである。

 さらに去る5月には、バイデン選対本部が、トランプ氏の大統領就任以来の対中融和ぶりに焦点を当てたTVコマーシャルを放映、その中で、北京での習近平国家との親密な会談模様を織り交ぜつつ、「コロナウイルス感染により全米で死者3万人以上、失業者2000万人以上が出ているにもかかわらず、大統領は中国の責任には一言も触れなかった」「それどころか、中国はコロナ対策でよくやっていると習近平を賞賛した」などとするナレーションを流した。

 最近ではバイデン氏は、香港で国家安全維持法(国安法)が施行されたことに関連して去る2日、ロイター通信を通じ特別声明を発表、以下のように語気強く中国を批判した:

 「北京が新たに課した国家安全維持法は、中国体制とは異なる香港の自由と自立を死に至らしめる暴挙であり、私は大統領就任後、厳しい対中国経済制裁を行う用意がある。また、中国国内において、米国市民、企業および組織による言論・集会の自由が弾圧される事態になれば、我々は直ちに対中制裁を実施する。中国ウイグル自治区での強制労働による衣料品などの対米輸出についても、これを禁止するため、より厳格な措置を講じる」

 さらに同氏は、トランプ氏にも矛先を向け「中国人民の諸権利を蹂躙する中国政府の最近の動きは、トランプ黙認の下で起こったものであり、彼は習近平の忠臣fealtyになっている」と強く非難した。

 折しも、今月初め発売されたばかりのボルトン元米大統領補佐官による回想録『それが起きた部屋』の中でも、トランプ大統領が習近平氏に卑屈な姿勢を見せてきたエピーソードが紹介され、民主党側の主張をある程度、裏付ける結果となっている。

 ボルトン氏はこの本の中で「大統領は習近平に『わが国の大豆を大量に買い付けてもらい、私が大統領選で再選できるよう手助けをお願いしたい』と嘆願したほか、習近平体制が中国ウイグル自治区の百万人以上の少数民族を強制収容所に入れてきた措置についても、『まさに正しい措置だ』と述べ、これを支持した」ことなどを暴露した。

 上記のようなバイデン陣営の言動を見る限り、対中姿勢はトランプ政権に勝るとも劣らない厳しいものがある。

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