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2020年12月29日

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磯山友幸 (いそやま・ともゆき)

ジャーナリスト

千葉商科大学教授(4月から)。1987年日本経済新聞社に入社。フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長などを務め、11年に独立。著書に『2022年、働き方はこうなる』(PHPビジネス新書)など。

ハコモノだけで終わらせない

 とにかく、学校建設をハコモノの提供だけに終わらせない、というのが谷川さんの考えだ。人と人の確かなつながりを作る。それが本当の国際交流だと考えている。

 日本の学校と現地校とをつなぐことにも力を割いており、谷川さんやAEFAの職員が日本の学校に出向いてラオスのことなどを話す「出前授業」を行っている。すでに740回も行ったというから驚きだ。

 「谷川さんのエネルギーは凄(すさ)まじい」と、民間人として区立中学の校長を務めた藤原和博さんも舌を巻く。藤原さんも谷川さんに惚(ほ)れ込んでいくつもの学校を寄付してきた。谷川さんと何度もラオスを訪問、友人のIT企業経営者などに声をかけ、学校建設に協力を求めてきた。

子どもたちと綱引きをして楽しむ谷川さんと筆者(写真=藤原和博氏提供)

 そんな藤原さんが、何度目かのラオス行の際、タイ東部の空港から陸路、自動車でラオス南部の都市パクセまで入ったことがある。とてつもないデコボコ道で、座席の上でバスケットボールさながら身体が上下左右に揺さぶられた。「まさに拷問で、勘弁してくれ」という感じだったというが、ふと横を見ると谷川さんが激しく揺られながら爆睡していた。「とんでもないオッサンだと思った」と語る。谷川さんも、「商社マン時代に鍛えられましたから平気なんです。考えると、今日の日のために商社マンをやっていた気がします」と笑う。

 「第一の人生」の経験が確実に生きて「第二の人生」の価値を増している、ということだろう。

 福井県で生まれた谷川さんの両親は教師だった。山間部にある中学校の先生だった父親と、小学校の先生だった母親が結ばれて、谷川さんが生まれた。地域を発展させるためには教育が何より大事。まずは学校を造らねばという思いは、実は両親の記憶として谷川さんの身体の中に息づいていたのだろう。

  
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◆Wedge2020年8月号より

 

 

 

 

 

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 

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