WSJが、6月14日に、ミャンマー情勢に関する二本の社説を掲げ、ミャンマーの法制度の不備と、ロヒンギャ(ミャンマーのヤカイン州とバングラデシュのチッタゴン管区にまたがって暮らすベンガル系ムスリム集団)問題について論じています。
第一の社説、The Race to Burmaは、アメリカが制裁を解除して、ミャンマーへの投資を各国が競っているが、スー・チーは、どんな立派な投資法を作っても、法廷が中立かつクリーンでなければ、意味がないと言っている。
ミャンマーの改革開放は結構だが、外国投資が傷を受けるようでは、将来の見通しは暗い、と指摘しています。
第二の社説、Burma’s Most Hatedは、最近再燃したロヒンギャ問題について、スー・チーは、平静と和解を呼びかけているが、民主勢力の中にもロヒンギャに対する強硬派がいる。ロヒンギャを庇えば多数の支持を失い、ロヒンギャに冷たくすれば国際社会の支持を失うので、スー・チーも苦境に立っている。
国連代表Vijay Nambiarは、6月13日にその地域を訪問したが、ミャンマー政府に対して、双方の武力行使を抑えるように勧告すべきであろう、と述べています。
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ロヒンギャは人口百万前後と推定され、ミャンマーでは、西部のラカイン州に居住していますが、宗教がイスラムであるために、ビルマ・ナショナリズムからは敵視の対象となり、日本占領時代や軍事政権時代を通じて、おおむね、ビルマ族による差別弾圧の対象となってきました。今年、2012年にも、民族紛争が激化して、ラカイン州に非常事態宣言が発令されるに至っています。