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2020年9月9日

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米ニューヨーク州北西部ロチェスターで今年3月、武器を持たない黒人男性ダニエル・プルード氏(当時41)が警官に地面にうつぶせで押さえつけられた後、1週間後に死亡した問題で、ロチェスター警察の本部長と副本部長が辞任した。市長が8日、市議会に報告した。ブルード氏の死をめぐっては、関与した警官7人が停職処分になっている。

ロチェスター警察のラロン・シングルタリー本部長は8日に声明を発表し、「誠実な人間である以上、外部勢力が私の人格を破壊しようとするのをいたずらに座視するわけにはいかない」と述べた。

さらに、「プルード氏の死亡を知らされた後の私の行動が、誤って政治的なものにねじまげられているが、それは事実にもとづく内容ではないし、私の信条を反映するものでもない」と説明。プルード氏が今年3月に死亡した経緯を世間から隠したわけではないと主張した。

勤続34年のジョセフ・モラビト副本部長も辞任を発表した。

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ロチェスターのラヴリー・ウォーレン市長は、自分がシングルタリー本部長の辞任を求めたわけではないと説明。「本部長は隠蔽(いんぺい)などしていない」と述べた。

ウォーレン市長は3日、関与した警官7人の停職処分を決め、構造的な人種差別がプルード氏の死につながったと話していた。また、本部長の当初の報告が不十分で、薬物の過剰摂取が死因だと聞いていたと不満を示していた。

ウォーレン市長は8日、シングルタリー本部長は9月末まで職務を続けると発表。市議会と連携しながら、「この街の警察に必要な改革を必ず実施する」と表明した。

頭を2分間押さえつける

重い精神疾患を患い、小雪の降る深夜に全裸で道路を走っていたプルード氏は今年3月23日午前3時過ぎ、心配する兄の通報を受けた警察に発見された。

遺族の情報公開請求で公表された警察のボディカメラ映像によると、後ろ手に手錠をかけられ、路上に座らされた状態で警官たちを罵倒している。自分は新型コロナウイルスに感染していると告げた上で地面に唾を吐くなどしたため、警官たちが「唾液防止フード」を頭にかぶせた。「唾液防止フード」は、容疑者の唾液から警官を守るためのもの。

やがて1人の警官が、プルード氏の頭を約2分間にわたり両手で押さえつけた。動かなくなったプルード氏は病院に搬送されたが、1週間後に家族が生命維持装置の停止を決断し、3月30日に亡くなった。

遺族は今月2日になって記者会見し、問題を公表。警察の映像を情報公開請求で入手するのに時間がかかったため、このタイミングになったという。

「訓練通りの手順」

プルード氏が亡くなった経緯について、大陪審が事件性を検討することになっている。

ロチェスター警察労組は現場の状況について、警官たちが訓練された通りの手順を「ひとつひとつ踏んでいる」と説明。同労組のマイケル・マザイオ会長は、警官たちがプルード氏にかぶせた「唾液防止フード」は通常の装備だと話している。

さらに、精神疾患の様子がみられる人物の保護が必要だった当時の状況は、警官たちにとって難しいものだったと述べている。

モンロー郡監察医事務所による死体検案書には、プルード氏の死亡について、「身体的拘束下の窒息による合併症」を死因とする、人為的な致死だと書かれている。

死体検案書はほかに、プルード氏が「興奮したせん妄状態」にあり、作用の強い幻覚剤、フェンサイクリジン(PCP)の激しい影響下にあったことも、要因として挙げている。

ドナルド・トランプ米大統領はツイッターで、民主党のウォーレン市長とアンドリュー・クオモ・ニューヨーク州知事を批判。「無策で手をこまねいている。ニューヨーク州はボロボロだ。金がない、税金は高い、犯罪は多い。みんな脱出してる。11月3日。みんなで直せる」と書いた。

トランプ氏は11月3日の米大統領選に向けて、野党・民主党は警察の予算を減らし、国内の治安を崩壊させるなどと繰り返している。

(英語記事 Daniel Prude death: Rochester police leaders step down

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54082440

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