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2020年9月13日

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家具や内装などを通じて生活スタイルに変革をもたらしたイギリスのデザイナー、サー・テレンス・コンランが12日、亡くなった。88歳だった。

「ハビタ」や「コンラン・ショップ」などで知られるサー・テレンスは、1960年代のイギリスの家庭にモダンでシンプルな生活様式をもたらし、後にはデザイン博物館の創設に尽力した。

家族は声明で、「イギリスの私たちの暮らし方に革命をもたらし、稀有な人生とキャリアを享受した慧眼(けいがん)の人だった」と述べた。

「家族と友人に深く愛されていた。いなくなって、これから本当に寂しくなる」

家族はさらに、「多くの皆さんが私たちと一緒に悲しんでくださるのはとても心温まることですが、むしろテレンスの素晴らしい業績と、彼が深く愛した国に残した貢献を、祝っていただければと思います」と書いた。

「優れたデザインは人の暮らしの質を向上させるという、とてもシンプルな信念」をもとに、「イギリスのデザイン、文化、芸術の最も優れた部分を世界中に広めた」と、家族は声明でサー・テレンスをしのんだ。

サー・テレンスは1940年代後半からデザイナーとして働き始めた。1960年代になると、「スウィングするロンドン」の代表的なデザイナーの1人として、その名前は広く知れ渡った。

「コンラン」の名前は、ファッション性と機能性に優れて使いやすい家具や内装、生活用品の代名詞となった。レストラン経営や建築なども幅広く手がけた。

スウェーデンの家具量販店イケアが登場するよりはるか前から、コンラン氏は自分の最先端デザインをなるべく安価で提供し、「優れたデザインの民主化」に取り組んだ。

デザイン博物館のティム・マーロウ館長は、「テレンス・コンランは戦後イギリスをデザインし直した1人で、その業績は巨大だ」、「私たちの暮らし方、買い物の仕方、食事の仕方を変えた」とたたえた。

織物デザインの訓練を経て家具工房を立ち上げたコンラン氏は、1950年に設計会社に入社し、翌年のイギリス博覧会の作業に参加した。

1950年代にはさらに、デザインする製品や事業の多角化に取り組み、店舗内装なども手がけるコンラン・デザイン・グループを立ち上げた。1960年代にロンドン・ファッションの最先端となるメアリー・クアントの店舗のデザインも担当した。

1964年にはロンドン・フラム通りに初の「HABITAT」店を開店。戦中戦後の物不足や地味な緊縮の時代から抜け出したい若い世代に、流行の先を行く家具やアート、台所用品などを提供していった。

「当時のロンドンがどれだけ退屈な場所だったか、とても言い尽くせない」と、コンラン氏は後に語った。「通りに並ぶ家はどれも見た目が同じ。どの家の居間も、まったく同じ。すさまじく退屈でどんよりわびしい、似たり寄ったりの家具だらけだった」。

コンラン氏は、欧州大陸のライフスタイルに大きく影響されていた。今ではイギリスの寝具として当たり前のものになっている、羽毛布団をイギリスに紹介したのも、コンラン氏だと言われている。

コンラン氏の事業はその後も、拡大と多角化を続けた。デザインや食べ物に関する著作も数多く発表した。

「私たちがデザインした、あるいは経営したレストラン、ホテル、バー、店舗、インテリア、建物、商品、家具、私が書いた本……。すべてを結びつけるものはただひとつ、デザインです。ぜんぶ合わさると、私が生活スタイルと呼ぶものになる」と、コンラン氏は話していた。

結婚は4回。2人目の妻シャーリー・コンランさんは、「コンラン・デザイン」の創設に協力した後、自助本や小説のベストセラー作家になった。

シャーリーさんとの間の息子、ジャスパー氏とセバスチャン氏は共にデザイナーになり、3人目の妻で食べ物ライターのキャロラインさんとの間の3人の子供は、レストラン経営や執筆など飲食分野で成功している。

(英語記事 Sir Terence Conran: 'Visionary' designer dies at 88

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54135491

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