2022年8月9日(火)

ちょっと寄り道うまいもの

2012年8月10日

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 農家を探して買うのは難しいか。萬城の滝の売店や、修善寺駅の近くに「農の駅」という販売所がある。ワサビの葉や茎まであるし、あちこちの農家自家製のワサビ漬けも売られている。

 今回のもう一つの目的が食事。以前、飯田さんにワサビの食べ方について教わっていたら、近所に良い先生がいる、と。農家を改造した料理屋さんが、ワサビを含めた地元の食材を美味しく食べさせてくれるという話で、予約を入れた。

「羅漢」という。もともと、陶芸家の加藤千博さんが器を焼き、夫人の敦子さんがそれを使って料理を供していた。残念なことにご主人は三年前に急逝され、いまは一人で客は一日に一組、二人以上の御相談という料理屋をしている。

 いや、料理屋という言葉が適切かどうか。適当な言葉を思いつかないのだ。それほど、ユニークな有り様だから。食べて回ることを仕事にしている私が、出会ったことがないようなところ。お味と雰囲気。

 まず、時間の制限がない。私たちは四時過ぎに寄せてもらったが、とりあえず、お茶をいただき、裏の小川や畑など眺めていると(蛍が出るとか)、庭にある不思議な空間に案内される。かつて味噌造りに使われていたという巨大な樽をひっくり返した、冗談のようで快適な空間。子どもの頃の秘密基地のおもむき。そこに軽いつまみ。虫や蛙の声を聞きながら、梅酒で摘んでいると、日が暮れていく。

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