母屋の土間にある食卓へ。かつて夫妻が住んでいたメキシコから持ち帰った頑丈なテーブルと椅子。桐の大きな板に塗りを施したものに、一口で食べられるような料理が並ぶ、まるで宝石箱。いや、立体の絵とでも言うべき、食欲をそそる美しさ。食べるのがもったいなくもある、和洋入り交じったユニークな一口料理。そのあちこちにワサビの茎が葉が、隠れていたり、顔を出していたり。やはり、メキシコから持ち帰ったという骨董もののジュークボックスからはノスタルジックな音楽。
冷酒で驚きを楽しんでいると、今度は畳の間に誘われる。お造りに煮物、焼き物という和を基本とした料理。ただ、かき揚げの下は、シイタケを蚊取り線香状に切り伸ばした「ソバ」、そんな遊び心も。そこでも、ワサビがあちこちで主張しているが、特に〆の御飯。炊き立てに、自分ですりおろしたワサビと粉の鰹節をたっぷり。そこにお醤油をたらーり。本物のワサビがどれだけ美味しく主役たり得るか、改めて納得。
器の趣味にも、設(しつら)えにも感嘆しつつ、時を忘れて楽しみ、気がつけば10時を過ぎていた。新しい発見の至福。我が家で復習だ。
◎東海道新幹線三島駅から伊豆箱根鉄道駿豆線で修善寺駅下車
■ヤマゴわさび店
修善寺駅からバスで筏場中下車
静岡県伊豆市筏場165
☎0558(83)0747
営業時間/8時~17時
■羅漢
修善寺駅からバスで地蔵堂中下車
静岡県伊豆市地蔵堂299─2
☎0558(83)0529
※要予約、1日1組(2名以上)のみ
■農の駅伊豆
修善寺駅から徒歩約20分
静岡県伊豆市柏久保108
☎0558(72)4462
営業時間/9時~18時(11月~2月は17時)
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