2024年4月20日(土)

ペットビジネス最前線

2012年8月21日

宇宙葬に遺骨の加工サービスも

 埋葬も、霊園の共同墓地や専用墓地への埋葬のほか、専門の納骨堂を借りて納骨、自宅の庭への埋葬などが一般的でしたが、人間の埋葬と同様に海や山への自然散骨を望む飼い主も増えているようです。変わったところではペットの宇宙葬や、遺骨を身近に置いておくためにセラミックや人工ダイヤモンドに加工するサービスまで登場しています。(http://store.shopping.yahoo.co.jp/eternal-j/14.html) (http://aqdiamond.com/

 また特殊な樹脂を使っての加工やはく製として生前の姿をとどめておくという、火葬も埋葬もしないサービスもあります。人間では考えられないような行為だと思いますが、この裏側には飼い主の心の問題があるようです。

「ペットロス症候群」という問題

ペットロスは心理的な問題のため個体差が激しく、症状や病状が様々なので解決には専門家のサポートが必要となる。画像はペットロスケアサポーター・悠崎仁氏の著書

 ペットロス症候群という言葉があります。明確な医学的定義は難しいようですが、ペットとの生活で培われた深い愛着・愛情が、突然に訪れるペットの「死」によって行き場をなくしてしまうことによって引き起こされる心的・肉体的症状と理解されています。主な症状として、不眠や摂食障害、鬱、妄想、幻覚、幻聴、胃潰瘍などがあげられますが、生活を送ることすらままならない重篤な症状に陥ってしまう飼い主さんも少なくないようです。

 子供のいない家庭や子育てを終えた熟年夫婦、家族から離れて暮らす単身者などが生活の伴侶としてペットとの生活を送り、その依存心が強ければ強いほど失うストレスが心に大きなダメージとして残ってしまうようです。

 失った現実から逃れるために形を変えてでも身近に置いておこうとする――。

 逆を言えばそんな需要も必要とされるほど、ペット(コンパニオンアニマル)という存在を必要とする人間が増えているのでしょう。あの動物特有の無償の愛情は、人間社会では希薄になってしまったものかもしれません。


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